ビッド経過は「1NT-3NT」。
何を出しますか?
オープニングリードは現代ブリッジ界の「お題」。
もとはといえば ロレンツォ・ローリア(Lauria)。
イタリア・ブルーチームの生き残り、昨年を含め世界選手権優勝7回。
オープニングリードの名手として知られています。
敵のハンドを覗き込んでいるんじゃないかと言われるくらいで。
いや、彼は小柄なことでも知られていまして。
だからこそ覗き込んでいるほど、と言われるわけです。
絶好のタイミングで2011年と翌年に出版されたのが
タフ・アンティアス、デイビッド・バード共著
「ウィニング・ノートランプリード」と「ウィニング・スーツコントラクトリード」
の2冊。
両著者の署名記事が米国「ブリッジワールド」誌2011年10月号にも。
「ウィニング・ノートランプリード」38頁から。
ビッド経過は「1NT-3NT」。
レスポンダーは、メジャー4枚の4333は、善し悪しはともかくもステイマンを
使って、フィットがあればメジャーのゲームでプレイすると仮定して。
何を出しますか?
コントラクトをダウンさせる率
10 13.1%
7/6/5 8.1%
10 6.1%
5 8.2
オープニングリーダーのパートナーは:
平均10.8HCP。
の平均枚数は5.4(5枚以上の確率は83%)、
の平均枚数は3.2(5枚以上の確率は6%)。
と
の合計枚数は平均8.6枚、
と
の合計枚数は平均4.4枚。
従って
と
のリードは良い結果を見込めないということです。
「ウィニング・スーツコントラクトリード」64頁から。
ビッド経過は「1
-2
:4
」。
このハンドから
オープニングリード
を出す。
5000ディールをシミュレートした結果、
リードの成功率 62.3%、
リードの成功率 56.5%。
だったそうです。
えっ、と思われるかもしれません。
私は
をリードしますけど。
もしハンドが、
だったら
をリードする人が多いのでは。
そしてその
リードが成功しても、記憶にも残らないのではなかろうかと。
だから「
J10」があったときに、
リードの成功率が高いと言われても
特に驚くこともなく。いや、私は
をリードしますけど。
実は、このオープニングリードの状況を独自にシミュレートした600ディールを
検討しました。するとスラムのディールが 37ありました。
「結果的にスラムが出来てしまう」のではなく「スラムをビッド出来てメイクする」
ハンドです。例えば、
「1
-2
:3
-4
:6
-P」と、いとも簡単に6
に到達します。
「3
」はヘルプスーツ、「4
」はスプリンター。
ヘルプスーツは3枚でもビッドしますから、スプリンターレイズするには5枚の
サポートは必要。オープナーから見れば、
と
に絵札が集中したマキシマム
のハンドと想定できます。
「ウィニング・ノートランプリード」と「ウィニング・スーツコントラクトリード」では
各オープニングリードに5000ディールをシミュレートしています。
まさか全ディールを人が見て検討しているわけもなく(しているとも書いて
ありませんし)。
果たしてこのような事象をどのように処理しているのか疑問に思うところです。
鵜呑みはせずに。
「コンピューターは
をリードするだろうけど、私はこのハンドは
を
選ぶ方が有利であると判断する」というふうに適用すれば良いわけで。
サビーネ・アウケン(Auken)とロイ・ウェランド(Welland)のペアは、昨年の
北米チーム選手権(バンダービルト杯)とヨーロッパ選手権オープンペアを
優勝したところで。
このペアと米国ブリッジ連盟ブルーリボン杯で予選準決勝決勝の3日間とも
対戦した、デーブ・カプレラが「ブリッジワールド」誌2014年9月号に記事を
寄せています。
(この競技会については
米国ブルーリボン優勝ペアシステムを見てください)
「アウケン-ウェランド」ペアのビッドは平凡な「1NT-3NT」。
からオープニングリードを出します。
「昨今の流行に乗り、
9のリードを選んだ
(Following the modern style,I chose the heart nine.)」
ところが。
最悪(Disaster)。
パートナーの
Q10がダブルフィネスされ、ほどなく6メイクされたと。
このハンド、オープナーには強い5枚
と弱いダブルトン
があり、
レスポンダーにはエースジャックの5枚
があります。
結果的に
と
の両方ともフィットしているし。
オープナーもレスポンダーも、メジャースーツを紹介も探しもしない。
オープニングリーダーは自分が0点なのでパートナーの長そうなメジャーを
出しました。上記のシミュレーションによると、パートナーは平均12.8HCPで
5.4枚の
を持つのですが。
対戦相手のビッドがこんなのだと、全く当てにならないようです。