私はセカンドハンドで、次の手を持っていました。

AKQ8762

x

xxx

Ax
「おお、これはナムヤッツオープンしよう。」
ナムヤッツとは、4

/4

オープンで、「それぞれ

/

のソリッド
7枚以上のスーツ」+「サイドのAまたはK」を表すオープンの事です。
上のハンドなら4

オープン。ちなみにナムヤッツは "Namyats"
と綴ります。是非、逆から読んでみて下さい。
この説明でおわかりのように、このナムヤッツは滅多に来ません。
ちまたでは上記の制限をゆるめて使う人もいるようですが、エコールツー
を使っている場合、制限をゆるめたハンドは大抵エコールツーで開いて
しまいますので、私は厳格に使うのが良いと思っています。
そういう訳でなかなか来ないナムヤッツ。で、私は興奮したのです。
しかし、右が無慈悲にも1

オープン。「ナムヤッツ」が頭に刻み
込まれている私は「ナムヤッツ」の代わりのビッド、そう4

のカードを
すぐにつかみました。
パス、パス、ダブルとなって、4

ダブルに決まり。

xのOL。
折角のナムヤッツハンドだというのに、ウィナーが9個しかないでは
ないですか。一つ増える可能性があるのはハートです。極めて薄い
可能性ながらも、ハンドから

xを出して

9でフィネスして...。
それにはダミーにエントリーがたくさん欲しい。それは...。
「たくさんアル。」
と、いうのが私の考えでした。

2→

3というLyo君好みの
エントリーも使えるかもしれません。私は早速

2をハンドの一番左に
移し、間違えて使わないようにしました。
EはOLの

を勝って、

5にスイッチします。
私は『どちらで勝つか悩みました』が、ハンドで勝つことに決め、

A。
Wは

4、ダミーは

3。
残念、これで

2→

3というエントリーがなくなってしまいました。

xを出し、

9でフィネス。残念ながら

Jに負けました。ダメか。
しかしまだチャンスはある。万が一のディフェンスミスで

A

Kが
クラッシュするかもしれない。なんと言ってもこのコントラクトは通常
1ダウンなのですから、何をやっても良いのです。
Eは

xにシフトします。
私は

Aで勝って、予定通り、

2を出してダミーに入ります。
と、見慣れないカードがWから出ました。
『

J』.....『え?』
私の頭は「ナムヤッツ」で一杯だったのです。「ナムヤッツ」は
「ソリッドスーツ」であり、私はいつのまにか

がコンクリートの
ように硬いスーツだと思い込んでいたのした。
<このハンドの教訓>
スペードにはJがアル。
(おしまい)
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(既刊・ミニコミ誌「ちょっと ブリッジタイム」2002年秋号より)
(少し改訂 ♪♪)
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