ダン・ロム(Dan Romm)は米国のラバー・ブリッジ
(rubber bridge)のベテランです。
カルフォルニア工科大学卒、UCLAで修士号。数学の
博士号を持ち、IBM社や米国ARCO社に勤めるなど
IT関係の仕事に従事していたようです。51歳で退職
してから法科大学院に学ぶとは勉強好きかも。
賭けブリッジ歴40年間でテーブルを囲むのは、
故ソロウェイ(Paul Soloway)を始め、若い頃はラバー・
ブリッジ屋に入り浸っていたハマン(Bob Hamman)、
ジア(Zia Mahmood)などなど、最高のプレーヤー達。
もちろん横好きの金持ち達も。米国のいくつかの州では
賭けが合法で、レートは1点0.5〜1ドルくらいと思わ
れます。
2006年、64歳のときに最初で最後となる本、
“Things your bridge teacher won't tell you”
を執筆しました。私の愛読書のひとつです。
ビッドの判断は、『ルール』や格言の類いだけを頼りに
するわけにもいかず、特にトータル・トリックの『法則』
は良い判断の粗悪な代用品(a poor substitute for good
judgment)にすぎないと手厳しいです。
メル・コルカミーロも「『メルの法則』はガイドライン
である」として、米国ブリッジ連盟(ACBL)会報の連載
では過度の依存(overuse)を諫めています。
我々の記憶力には限度があるので、数えきれないほどの
コンベンション(gazillions of conventions)で頭に余裕
が無くなることは避けたいもの。安心感を持って、ビッド
の判断とプレー、ディフェンスに集中したいです。
ディフェンスコースから
ディーラーSouth
Southの2
に対して、Westは
2をリード。
ディクレアラーは『スモール』と言ってはいけない。
スモール
を引くと、手元の
ルーザーを
Aで切る
ことになってしまいます。
第1トリックを
Aで勝ち、ダミーから
を引く。
Eastは
Aを取ってはいけない。
ダミーの
はシングルトンですが、ディクレアラーの
手元には4枚
があるはず。
Aは取りはぐれません。
ダミーの
も
も強く無いので、ディクレアラーの
手元の
スーツは消せないです。
2→3→Q、と進んでWestのキングが勝ち。
第3トリックは再び逆狩りの「
5」。
ディクレアラーは手元の
が3ルーザーして、
コントラクトはワンダウンします。
2018年12月 日本リーグ 第5ラウンド 13番ボード
(ボードを回転させてあります)
ディーラーSouth、双方バル
オープニングリードは
2。
Eastは
Aを取って…
を返した。
パートナーの
Kを取りはぐれることを恐れてのことか?
これもまた“out of fear”の一例と思われます。
ディフェンスとしては、少なくともIMP-VP方式のチーム
戦なら、
ではなく
を返すべきは明らかかと。
このような失敗はプレーよりもディフェンスの方が頻度が
高く。百のコンベンションを覚えるよりも、このような
失敗をしないようにすることが重要でしょう。