今年(2018年)の9月に出たブリッジ書籍「アンダー・ザ・テーブル
(Under the table)」。著者はウィルスモア(Avon Wilsmore)。
題名は「違法の、内密の」というほどの意味です。
全400ページ弱。300ページほどがイタリア・ブルーチームの過去
の不正行為について費やされています。不正行為を証明するハンド
が何百と列挙されているので、読んでいて実に不愉快になります。
筆者は訴訟リスクをどのように負うのかを心配したところ、出版社
は米国の代表的プレイヤーの一人、ハマン(Bob Hamman)の経営
するテキサス州の、Hamman and Associations LLC社。
ハマンはブルーチームと対戦して何回も煮え湯を飲まされています
から。「来るなら来い、待っているぞ」といったところでしょうか。
イタリアのブルーチームだけではありません。
英国のリース(Terence Reese)とシャピロ(Boris Schapiro)による
1965年のブエノスアイレス事件。
イタリア連盟が処分したにもかかわらず、スペイン連盟がスペイン
代表としての出場を認めて批判の対象となっているランザロッティ
(Massimo Lanzarotti)とブラッティ(Andrea Buratti)のペア。
米国連盟から追放処分を受けたイスラエルのフィッシャー(Lotan
Fisher)とシュワルツ(Ron Schwartz)のペア。
米国連盟から追放され、ヨーロッパブリッジ連合からも出場停止
処分を受けているものの、イタリアのスポーツ仲裁裁判所から無罪
の判決を受け、イタリア連盟からの処分がイタリア連邦控訴裁判所
の判決により撤回されたファントーニ(Fulvio Fantoni)とヌーン
(Claudio Nunes)のペア。
2013年の世界選手権シニア・ボゥルを優勝したものの「咳」で情報
交換していたとしてのちにチームの失格処分を受け、ドイツ連盟から
の処分を不服としてケルン地裁に提訴。処分が高齢者には重過ぎると
いう理由で、のちにジュッセルドルフ上級裁でも勝訴したエリネスク
(Michael Elinescu)とワラドウ(Entscho Wladow)のペア。
世界ブリッジ連合から世界選手権への出場を否認され、ヨーロッパ
ブリッジ連合は処分を下したものの証拠不十分として撤回。ポーラ
ンド連盟からも処分を免れているものの、音沙汰の無いバリッキィ
(Cezary Balicki)とズムジンスキー(Adam Zmudzinski)のペア。
進んで不正行為を告白し、ドイツ連盟とヨーロッパブリッジ連合から
処分を受けているドイツのピカレック(Josef Piekarek)とスミルノフ
(Alex Smirnov)のペア。
この本では古今東西のブリッジ不正行為を取り上げ、各国ならびに
国際ブリッジ組織の及び腰をやり玉にあげるととも、なぜそのような
ことになったかを分析しています。
前書きが長くなってしまいました。
不正行為(11)に続きます。