米国「ブリッジワールド」誌 1996年1月号 28頁
誌上ビッド対戦記事「チャレンジ・ザ・チャンプス」から

1

オープナーがリバースします。

レスポンダーの3

はゲームフォーシングの強さを保証。
こののち、

オープナーは3枚

でレイズして 3=4=5=1のハンドの形を表し、
片方のペアは4-3の4

を選びました。

もう片方のペアは3

ののち4

とコントロール・キュービッドを
開始して、最終的には5

をコントラクト。
4

、5

のいずれも良いコントラクトですが、マッチポイント・ペア
での評価はトップ12点で4

が10、5

が7です。
オープナーの「ワン・オーバー・ワン」リバースののち、
「レスポンダーが3の代をビッドするとゲームフォーシング」
という取り決めは、いつ頃に発案されたのか?
エリック・コキッシュによると、「1960年頃に発案され、1975年頃には
米国内に於いて一般的に使われるようになった」ようです。
また、このようなリバースのシステムを「ストラクチャード・リバース」
と呼ぶ人もいるようですが。そのような言葉はもともと無いか、また
は死語のようです。
こちらの記事もご参照ください →
リバース(4) このようなリバースのシステムを発表したのは米国の
モンロー・インバーマン (Monroe Ingberman, 1935-1985)。
米国ブリッジ連盟会報の1970年11月号に載りました。
姓がイングバーマン、名がモンローです。
1968年に実業家イラ・コーン(Ira Corn)がスポンサーになって、
ブリッジの世界王者をイタリアからアメリカに取り戻すべく、
「ダラス・エーシズ(Dallas Aces)」というプロのブリッジプレイヤー
だけのチームを編成。このチームはその後メンバーの変遷がある
のですが、世界選手権の王座を奪回することに成功します。
このチームの初代コーチがイングバーマンです。数学者で、自身も
有名なプレイヤーですが、数々のコンベンションを発案しています。
リバース後のイングバーマン・コンベンション
フレグメント・ビッド
「3NT」フォーシング・メジャーレイズ
などなど。順次紹介します。
メジャー・オープンに対して4枚サポートと13〜15の強さを表す
「3NT」フォーシング・メジャーレイズは、

W | E | 1 | 3NT* | |
|

いまの日本ではお馴染みです。
リバース後のイングバーマン・コンベンションは、


「2NT」は6〜7点を表す「ネガティブ」で。
「3

」は

サポートの6〜7点を表します。
これは改良されて、

「2

」が「ウェイティングビッド」でハンドの強さは不明。
オープナーが3巡目のビッドで、インビテーショナル・リバース
(16〜18)かゲームフォーシング・リバース(19〜21)かを表す
仕組みになっています。
フレグメント・ビッドは昔は流行りました。

W | E | | 1 | 1 | ? | |
|

このハンドで「3

」とビッドするのをフレグメント(fragment)・ビッド
と言います。4枚サポートのゲームレイズで、ビッドしたスーツが
(2)3枚、アンビッドスーツ(

)が1枚以内を表します。
このハンドで「4

」とビッドするのはスプリンター(splinter)・ビッド。
現代ではこちらの方が一般的になりました。
ちなみにフレグメントは「きれはし」くらいの意味で、スプリンターは
「とげ」くらいの意味です。