以下に紹介するリードショーイング・ダブルは、かなり特殊です。
しかしながら「ダブル」、「リダブル」はコンベンションの使用規制
を受けませんから使っている人はいると思います。
そして日本国内に於いては「ダブル」、「リダブル」はアラート不要
です。従って対戦相手が「ダブル」、「リダブル」したときには、
できるだけ聞くことをお勧めします。
スラム・スペード(slam spade)・ダブル スラムに対するリードショーイング・ダブル
(イ)ランクの一番高いアンビッド・スーツのリードを要求
(従って
のことが多い)
(ロ)プリエンプティブビッドをしたときにはボイドを示唆
(ハ)対戦相手が3つのスーツをビッドしたときには
3番目のスーツのリードを要求
この取り決めはグラノベッター(Matthew Granovetter)が
“Bridge Additions 96”に9ページにわたって書いています。
20年ほど前に書かれた本ですが、現代では定番になっている
コンベンションや取り決めが色々と載っています。
『最新学説が学界で市民権を得るのに10年くらいかかり、それが
入門書に反映されるのにさらに10年くらいかかる』そうです
(佐藤 優「読書の技法」)。
ブリッジのコンベンションもトッププレイヤー達が使い始めてから、
試行錯誤で改良されたのち一般的に使われるのは20年後くらい
のようです。2ウェイ(two-way)・ニューマイナー・フォーシング
などは典型的な例でしょう。
「スラム・スペード」の由来は「サム・スペード(Sam Spade)」。
サンフランシスコの私立探偵サム・スペードをハンフリー・ボガート
が演じた1941年の映画「マルタの鷹(The Maltese Falcon)」を
知っている人は通かも。サム・スペードか、フィリップ・マーロウか。
原作が1953年で映画は73年の「長いお別れ(The Long Goodbye)」
なら覚えている方も多いと思います。
ハイヤー・ランキング(higher ranking)・ダブル ランクの一番高いアンビッド・スーツのリードを要求します
(従って
のことが多いです)。
W | N | E | S | |
1NT | P | 2 | DBL | | | |
|
スーツを表す。
W | N | E | S | |
1 | P | 4 | DBL | | | |
|
スーツを表す。
スーツを表す。
やはりダブられた側は、聞いた方がいいと思います。
フィッシャー(Fisher)・ダブル 絶滅危惧種かも。
ノートランプ・コントラクトに対するリードショーイングのダブルです。
(イ)マイナースーツのリードを要求
(ロ)1NTまたは2NTオープン後で、長さを表すスーツがビッド
されていなくて、最終コントラクトがノートランプになった場合。
ステイマンが使われていないときは、
リード要求。
ステイマンが使われているときは、(
要求ならステイマンを
ダブれるから)
リード要求。
または、
(ハ)1NTまたは2NTオープン後、ステイマンを使っても使わなくても、
いつでも
リード要求。
発案したフィッシャー(Dr. John Fisher)は1960年から70年代に
かけて活躍したプレイヤーです。ペア戦の名手、バリー・クレーン
(Barry Crane)のパートナーでした。