パートナーのウィーク・ツー(weak-two)オープンをシングルレイズ
すると「バー・ビッド」の意味になります。これは「プリエンプティブ・
レイズ」とも言います。
「バー・ビッド」の“bar”は、「禁止する」(動詞)という意味。
陸上競技の棒高跳びや、障害走ハードルの「バー(bar)」(を上げる)
とは違います。酒場の「bar」とも違いますけど。
従って米国「ブリッジワールド」誌ウェブサイトの『ブリッジ辞書』に
よる定義は、「(パートナーとの取り決めにより)パートナーにパス
することを要求するアクション」。
“bar:action that (by partnership agreement) demands that
partner pass”
米国ブリッジ連盟発行の『エンサイクロペディア』による解説は、
「プレイヤは、特にそれまでのオークションでハンドの強さと形を
限定したときには、ビッドを継続することが技術的に制限される
ことがある。」
“BAR, BARRED:(3) A player may be technically barred from
further bidding, especially if he has limited his hand previously.”
(『エンサイクロペディア』は昔からたくさんの人が執筆している
ので辞書としては支離滅裂なところがあります。)
また、「プリエンプティブ・レイズ」は、対戦相手のビッドの妨害の
為にレイズすること。プリエンプティブは「シャットアウト(shut-out)」
と同じ意味です。
1925年頃、カルバートソンが、ブリッジを流行らせるのに小難しい
言葉では人々に受け入れてもらえないと。そこでエンカレッジ・
シグナルのことを「カモン」と言ったり、プリエンプティブのことを
「シャットアウト」と言ったりしたことの名残です。
米国ではコンベンションカードのウィーク・ツーのレスポンスの欄に
「RONF」と記入する人が多いです。これは Raise Only Non-Forceの
略語で、レイズが唯一のノンフォーシング・レスポンスということです。
逆に言うと、レイズ以外のレスポンスは、ニュースーツ等々、すべて
(ワン・ラウンド)フォーシングということです。
またしても長い前置きになってしまいました。
ここから本題です。
ウィーク・ツーのシングルレイズは典型的に3枚サポートで弱いハンド。
6〜12点、と言いたいところですが、13点あったらどうするか?
2017年 米国バンダービルト杯 準決勝(全60ボード)
第3セグメント 9番ボード
ディーラーNorth、EWバル
North:Weinstein
South:Levin
East:Sontag
West:Berkowitz
ディフェンスは
リードをキング、エースと取り、スモール
にシフト
して 3メイク。NS+140。反対テーブルでは:
North:Rosenthal
South:Siverstein
East:Rodwell
West:Meckstroth
ディクレアラーは
リードを勝ち、
を引きました。
Northは
Aを取り、
を切らせる。
ディクレアラーはダミーで
を2回切り、
を3個負けてワンダウン。
Northが
Aをダックすればコントラクトは 2ダウンします。
NS+100、得失点 2 IMPのディールでした。