清水のブリッジブログ　

　　　　　８月に開催された世界選手権から。
　　　　　卓抜したディフェンスのディールを紹介します。

　　　　　オープンチーム戦、バミューダボゥル。
　　　　　96ボードの準々決勝、米国Ⅰ対ブルガリアの
　　　　　第6セグメント、87番ボード。

AK109543

ダミー

QJ3

AQJ953

1095

10983

Q82

K87

ディクレアラー

A7642

AQJ54

102

　　　　　ディーラーEast、双方バル(ディールを回しています)

W	N	E	S
		P	1
2	2NT＊	P	3＊
3	4	P	P
P

　　　N：Meckstroth [米国]
　　　S：Rodwell [米国]
　　　E：Nanev [ブルガリア]
　　　W：Stefanov [ブルガリア]

　　　　　2NTは

レイズ、3

はゲームトライです。

　　　　　ロッドウェルの4

に対して、ステファノフは

Kをリード。
　　　　　パートナーは

2をフォロー(UDCA, norm.S/P)。
　　　　　ここで第2トリック。「

6」にシフト！
　　　　　ディクレアラーはジャックで勝ち、手元から

4。
　　　　　

Kが取り、続けて

A。
　　　　　ディクレアラーはラフして、

QJで狩り集め。
　　　　　ダミーから

を引いて、クイーンでフィネス。
　　　　　ついに「

K」が生還。
　　　　　続けて

6がリードされ、コントラクトはワンダウン(ディフェンス+100)。

　　　　　ディクレアラーとしては

の2巡目がフォローされた時点で、
　　　　　

に着手すればコントラクトは出来てはいたのですが。
　　　　　オークションとディフェンスの経過から、

Kと

Kの位置の
　　　　　想定を誤ったようです。

　　　　　実際の

フィネスは、仮に

シフトがシングルトンだとしても、
　　　　　

Kが手前に3枚以内ならメイク可能で。
　　　　　仮に右手にキングの5枚

があって、同時にキングの3枚

が
　　　　　あるときには、スローイン(throw-in)してメイクできます。

　　　　　幾多の世界タイトルを獲得してきたメックウェル(Meckstroth-Rodwell)
　　　　　のペアも、ブリッジレベルが向上したためか、この10年ほどは簡単に
　　　　　は勝たせてもらえないようです。しかしながらペアとしては、2003年の
　　　　　第1回ヨーロッパオープン選手権のペア戦に、ふらっとエントリーして
　　　　　参加340ペアから優勝したときには。やっぱり凄いと思いました。

　　　　　このディール、反対テーブルでは。
　　　　　「1

－2

－3

」の経過で4

になり、
　　　　　

Kリードに続けて

9が出されました。
　　　　　ディクレアラーはラフして

4をリード。
　　　　　

Kが取り、ここで

Kにシフト。
　　　　　のちに

Kが取れてジャストメイク(+620)。
　　　　　ブルガリア・チームの 12IMP得点。

　　　　　ではトップ

のリードののち、第2トリックで

にシフトしたときは？
　　　　　ディクレアラーはエースで勝ち、

A、アナザー

でキングが飛び出す。
　　　　　ディフェンスが

Kで反対側に入れ、

を攻めたとしても。
　　　　　ディクレアラーはエースで勝ち、

を狩り集めながらダミーに入って、
　　　　　

で残りの

を捨ててしまいます。
　　　　　

4＋

1＋

5個で10トリックに達するわけです。

　　　　　ところで。仮に「1

－2

－3

－DBL」という経過で4

になり、
　　　　　「ダブル」が

のトップ・アナーを表す約束のときには。
　　　　　オープニングリードに

のスーツ・プリファランス)が出されて、
　　　　　

Qを取ったのち

シフトで、ディフェンス側は各スーツで1トリック
　　　　　を取れるであろうと。
　　　　　この辺りは英国のマーク・ホートンが大会ブリテン8月24日号で
　　　　　記事にしています。

　　　　　ブルガリア・チームは96ボードの準々決勝で米国Ⅰ・チーム
　　　　　を 239対226 IMPで破り、96ボードの準決勝進出。
　　　　　米国Ⅱ・チームに 216対182 IMPで負けたのち、
　　　　　96ボードのプレイオフでニュージーランドを 203対187 IMPで
　　　　　破って銅メダルを獲得します。

　　　　　なお128ボードの決勝、米国Ⅱ対フランスは、278対276 IMP。
　　　　　２IMP差の接戦で米国チームが勝ちました。
　　　　　1997年以来の世界選手権優勝を狙う開催国フランスとしては無念
　　　　　であったろうと。しかしながら、すでにヨーロッパ選手権を制覇した
　　　　　若手のチームです。今後も優勝争いに絡まないことはないでしょう。