35年ほど前の話になりますが。
冬期ナショナル(いまの朝日新聞社杯)でチームメイトに聞かれました。
清水くんはここ(試合会場)に来るとき、電車の中とかで何をしている?
コンベンションカードやサマリーを見て、おさらいしています。
僕はね、どのようなときに対戦相手がサイキックにかかるかを考えて
いるんだよ。
当時は様々なプレイヤーがいたものです。
試合前に何をするかと。
スクイズ系の簡単なプレイの問題を解くのが良いと、どこかのブリッジ
雑誌に書いてありました。「ブリッジ・トゥデイ」誌だったと思います。
上級者にとってスクイズというの「型」にはまるので却って簡単でして。
ウィナーとルーザーのカウントの練習には良いのかもしれません。
頭の回転をよくするということでしょうか。
小学校の「朝の読書」が脳を活性化させる、みたいな話です。
ブラジルの有名ペア、シャガス(Gabriel Chagas)とブランコ(Marcelo
Branco)。
重要な試合の出場前には座禅を組むとか。
シャガス(1944年生)は今では国際試合のシニアの部で活躍中。
ポルトガル語、スペイン語、イタリア語、フランス語、英語に堪能。
ドイツ語、ロシア語、日本語を良くして、スエーデン語、オランダ語、
ヘブライ語、ハンガリー語、タガログ語、アラビア語、アイスランド語、
その他の言語を解するそうです
(Terence Reese著“Bridge Tips by World Masters”、1980年)。
世界選手権にチーム戦とペア戦あわせて40回ほど出ているが、たった
3回しか勝っていない、自分ほど負けているプレイヤはいない
(Marc Smith著“World Class”、1999年)。
すっとぼける背の低い禿頭のチャーミングなオッチャンです。
ブラジルのブリッジ界では「星の貸し借り」が常態化していたと聞いた
ことがあります。
人のやることっていずこも同じかと。
コキッシュ(Eric Kokish)によると、シャガスは有名だが、技術的には
パートナーのブランコの方が上だそうで。
ちょっと話は違いますが。
自分の嫌いな相手と対戦するときどうするか?
感じの悪い対戦相手(not-nice people)がそうそういるわけでも
ないでしょうが、もしそのようなことになったら。
叩きつぶそうとするな (don't try to beat them)。
ゲーム運びを変えるな (just play your game)。
そうすれば勝てる可能性はより高くなる。
平常心を保て、ということでしょうか。
メル・コルカミーロ(Mel Colchamiro)著、
“How you can play like an expert(without having to be one)”、
(2007年、211頁)に書いてありました。
何回か対戦したことがありますが、いかにも米国人という小太りの
感じの良いオッチャンで。なかなか良いことを言うものです。