オークションに於けるハンドの強さ評価。
ブリッジの本で“Hand evaluation”と題したものは10冊以上。
個々人の判断の問題ですが、
「アンバランス・ハンドは、長いスーツにアナーカードが集中
していたらオーバービッド気味に。バランス・ハンドは抑えて」
という傾向は共通しているようです。
同じハンドでも、強いと感じる人と弱いと感じる人がいるのは
当然のこととしても。
実際のテーブルでは。
ハンドの評価を上げてオーバービッド気味に進めることは多くても、
ハンドの評価を下げてアンダービッドすることは少ないようです。
2016年 夏季北米チーム選手権(スピンゴールド杯)
決勝 第1セグメント(1/4) 11番ボード
ディーラーSouth、ノンバル
N: Auken
S: Welland
E: Helness
W: Helgemo
NS側は2016年の世界選手権オープンペアを優勝した、
アウケン&ウェランド。
積極的・攻撃的なビッドをするペアとして知られています。
ところがここでは。1NTオープンは15〜17点の取り決めでも、
ハンドの評価を下げて1
でオープン。
QJダブルトンの弱さを補う要素が無いので、15点の価値を
見出せないということです。
結果的にEW側の
コントラクトは簡単に5メイクでEWプラス450。
仮にNorthが1NTオープンしたときには、1NT(ダブル)は3トリック
だけ取れて4ダウン。NS側は
のフィットを発見できたときには
6トリック取れるようです。
反対テーブルのオークションは以下のようでした。
N: Multon
S: Zimmerman
E: Grue
W: Moss
NS側は2016年の世界選手権オープンチームで準優勝した
モナコ・チーム。
ムルトン&ツィンマーマンのペアは、サード・ハンド、ノンバルの
1NTオープンは12〜14点の約束です。
従って1
オープン。
Eastのダブル後の
ジャンプレイズは20点位の強さを表します。
4点のパートナーは、このテーブルではパスをして、もう片方では
4
までビッドしました。
このディールで思い出したのが次のハンド。
米国「ブリッジワールド」誌2016年12月号
誌上ビッド対戦(Challenge the champs)
ディーラーSouth、EWバル
採点方式はマッチポイント・ペアです。
W: Lall
E: Milner
米国のロール&ミルナーのペア。
1NTオープンは15〜17点の取り決めです。
Westのハンドはストッパーの無いスーツが2つ、
リビッドで困ることが無いので1
でオープン。
Eastも、10点はありますが。
10や9などのインターミディエット(ミドル・カード)に乏しく、
Jが浮いていて、ハンドの形もフラットなので、
ゲームインビテーションをする強さは認められません。
2
とアンダービッドを選びます。
合わせて25点ありますが、Northから
のオーバーコールが
入っている以上、ストッパーがあっても3NTは苦しいです。
このように15点で1NTオープンを控えることは多くはないです。
ところが14点での1NTオープンはよく見かけます。
2015年12月 日本リーグ 第2ラウンド 18番ボード
チーム戦、味方だけバル。
右手がディーラーでパス。
オープンは?
15〜17点を表す1NT。
ストッパー完備、強い長い5枚スーツあり。
平凡な15点よりも強いです。
パートナーのハンドは:
A873
73
82
KQJ102。
を攻められても3NTで9トリックは簡単に取れるディールでした。