暮しの手帖 みたいな題ですが。
この記事は
BWS2017 の続きです。
Bridge World Standard 2017
米国「The Bridge World」誌が今年から採用するビディング・システム
です。これを何人かのパートナーにお願いして、使ってみました。
2016年12月と2017年1月の日本リーグ、2017年1月の朝日新聞
社杯、2月のNEC杯。全部で500ボード弱。
トータルトリックの法則で有名な米国のラリー・コーエン(Larry Cohen)
に言わせると、春夏秋に開催される北米選手権(North American
Bridge Championship)はそれぞれの会期が10日間くらいですが。
これに参加して1回も出てこないコンベンションは使わなくてもいいん
じゃないかと。ボード数でいうと500位です。
BWS2001とBWS2017の大きな違いは、
2001では「2オーバー1(Two-over-one)」は「ほとんど(almost)・
ゲームフォーシング」で、レスポンダーが同じスーツを3の代でリビッド
すると良い6枚のインビテーションハンドを表す約束だったのが、
2017では「2オーバー1(Two-over-one)」は「完全に(absolute)・
ゲームフォーシング」になったことです。
では「良い6枚のインビテーションハンド」はどうするかというと、3の代に
ジャンプシフトします。「1
![S](s17.png)
オープンに対する3
![C](c17.png)
/3
![D](d17.png)
/3
![H](h17.png)
レスポンス」、
「1
![H](h17.png)
オープン → 3
![C](c17.png)
/3
![D](d17.png)
レスポンス」、「1
![D](d17.png)
→ 3
![C](c17.png)
レスポンス」です。
では実際に500ボードやってみてどうだったか?
驚いたことに、このビッドは1回も出ませんでした。
いわゆる“Almost”には“Two-over-one 99% game forcing”という
名前を付けている人もいるくらいで、あまり出てこないのですが。
これほどとは思いませんでした。
こういうときは往々にして反対側に「手」が行くもので。
![](s.png)
2017年2月 内藤杯
第3セッション 13番ボード
チーム戦、双方バル
1
![S](s17.png)
オープンに対して3
![C](c17.png)
の
レスポンスがちょうど良く、
最終コントラクトとしても適正です。
では次のハンドは?
米国「ザ・ブリッジワールド」誌 2017年2月号
![](s.png)
W | N | E | S | |
| 1![](d19.png) | P | ? | | | |
|
![](s.png)
ペア戦、ノンバルです。
パートナーとの取り決めは、3
![D](d17.png)
はweak、2
![C](c17.png)
はゲーム・フォーシング、
3
![C](c17.png)
はインビテーション。
あなたならどうしますか?
パネル回答者は全24名。18名が3
![C](c17.png)
を選びました。
ゲーム・インビテーションの強さを表しますが、対戦相手の9枚以上
の
![S](s17.png)
フィットをプリエンプトする狙いもあります。オープナーから3NT
が返ってきたら、4
![C](c17.png)
を言うか4
![D](d17.png)
を言うかが微妙なところ。
他の回答者の選択は、4名が3
![D](d17.png)
、2名が1NTでした。
BWSではマイナーオープンに対する2
![H](h17.png)
と2
![S](s17.png)
のレスポンスは
「リバース・フラナリー・タイプ」になっています。すなわち5枚
![S](s17.png)
と
4枚(以上)の
![H](h17.png)
。2
![H](h17.png)
は弱く、2
![S](s17.png)
はインビテーションの強さ。
このコンベンションは意外によく出て来るようです。
2017年1月 日本リーグ 第11ラウンド 24番ボード
![](s.png)
チーム戦。ディーラWest、ノンバルです。
![](s.png)
W | N | E | S | |
1![](d19.png) | P | 2 * | P | P | P | |
|
2
![H](h17.png)
=
![S](s17.png)
5&
![H](h17.png)
4
under
invitational
strength
特に劇的なこともなく。
Northのハンドは:
![S](s17.png)
AQ4
![H](h17.png)
KJ4
![D](d17.png)
9852
![C](c17.png)
Q54。
2
![H](h17.png)
はジャストメイク。
1NTオープンのレスポンスでは、3
![C](c17.png)
はマイナーズで弱く、3
![D](d17.png)
は
マイナーズでバランス気味のゲーム・フォーシング、3
![H](h17.png)
と3
![S](s17.png)
は
マイナーズでショート・スーツを表します。マイナー・2スーターの
ビッドに3の代すべてを与えるのはいかがなものかと思いますが。
2017年1月 日本リーグ 第12ラウンド 10番ボード
![](s.png)
チーム戦。ディーラEast、双方バルです。
![](s.png)
3
![H](h17.png)
= minors
![H](h17.png)
short
簡単に6メイクです。
![](s.png)
2
![S](s17.png)
= mss
3
![C](c17.png)
= 4+
![C](c17.png)
3
![H](h17.png)
=
![H](h17.png)
short
4
![C](c17.png)
= trump set
のようにもビッドできます。
競り合いでは以下のビッドが。
2017年1月 朝日新聞社杯 第8ラウンド 17番ボード
![](s.png)
チーム戦。ディーラNorth、ノンバルです。
![](s.png)
3
![C](c17.png)
=
![C](c17.png)
PRE
![C](c17.png)
Kのリードに対して、Eastは
![C](c17.png)
7411、7420のいずれの分かれでも
アティテュード・シグナルは意味が無いので、
![D](d17.png)
スーツプリファランス・
シグナルの「2」をフォロー。
![D](d17.png)
Kのシフトが、ダミーのエースを切り落とし
ます。続くEastの
![C](c17.png)
をディクレアラーは切り、トランプを狩り集めながら
![C](c17.png)
を1回ラフして、
![H](h17.png)
AKをエリミネーション。ダミーから4枚目の
![C](c17.png)
を引き、
手元の
![D](d17.png)
をルーザーオンルーザーしながらEastにスローイン(throw-in)。
結果的に4
![S](s17.png)
は
![D](d17.png)
リードだけダウン。EW側には5
![H](h17.png)
まで出来るようです。
ピック・ア・スラム(pick-a-slam)は何回も出てきました。
このコンベンションについては記事
5NT ピック・ア・スラムを
参照してください。
2017年1月 朝日新聞社杯 第4ラウンド 12番ボード
![](s.png)
ディーラWest、NSバル
![](s.png)
W | N | E | S | |
P | 1![](c19.png) | 3![](d19.png) | 3![](s19.png) | 5![](d19.png) | 5NT | P | 6![](d19.png) | P | 6![](s19.png) | P | 7![](s19.png) | All | Pass | |
|
5NT = pick-a-slam
スクイズは無く。
![C](c17.png)
のフィネスが
右手の「Q104」に抜けて
ワン・ダウンでした。
改善の余地があったかというと、「ピック・ア・スラム」に「ラスト・トレイン
(last train)」を組み合わせればよかったのではないかと。すなわち、
![](s.png)
5NTは「ピック・ア・スラム」。
6
![D](d17.png)
のキュービッドはグランドスラムに興味あり。
ここでNorthは実際のように「6
![S](s17.png)
」をビッドすると、シックス止まり。
もっと強いハンドのときには「ラスト・トレイン」で6
![H](h17.png)
をビッドして、
セブンに興味があることを伝えるのではないかと。
これまでに見聞きしたことの無い組み合わせです。
「ラスト・トレイン」は、記事
スラムアプローチのスタイルに出てきます。
この他、2
![C](c17.png)
オープン後のコキッシュ・リレー(Birthright)は何回か。
オープナーの1NTリビッド後の Two-way New Minor Forcingも
何回か登場。
BWSとは関係ありませんが、2NTオープン後にウォルシュ(Walsh)・
ダブル・リレーでのマイナーのスラムがありました。
2017年1月 朝日新聞社杯 第8ラウンド 1番ボード
![](s.png)
チーム戦。ディーラNorth、ノンバルです。
![](s.png)
W | N | E | S | |
| P | P | P | 2![](c19.png) | P | 2![](d19.png) | P | 2NT | P | 3 * | P | 3![](h19.png) | P | 3 * | P | 3NT | P | 4![](d19.png) | P | 4![](h19.png) | P | 4![](s19.png) | P | 4NT | P | 5![](d19.png) | P | 6![](d19.png) | All | Pass |
|
2NT = 22〜24(と評価)
3
![D](d17.png)
= TRF
![H](h17.png)
3
![S](s17.png)
= PUPP 3NT
4
![D](d17.png)
= 5+
![D](d17.png)
GF
4
![H](h17.png)
/4
![S](s17.png)
= CTRL
Southのハンドは:
![S](s17.png)
753
![H](h17.png)
1032
![D](d17.png)
J10
![C](c17.png)
Q6543。
6
![D](d17.png)
は何のリードでもメイクするようです。
ビッドでは無いのですが、珍しいところで「スーツプリファランス・ジャック」
が出て来ました。
スーツプリファランス・シグナル特殊編 を参照してください。
2017年1月 朝日新聞社杯 第4ラウンド 17番ボード
![](s.png)
ボードを回転させて、ディーラEast。ノンバルです。
![](s.png)
5
![C](c17.png)
x by S
OL.
![S](s17.png)
2
Eastは
![S](s17.png)
リードをエースで取り、「
![S](s17.png)
J」を返します。
ジャックは「スーツプリファランス = Lo」、すなわち
![D](d17.png)
を示唆。
Westはキングでオーバーテークして、
![D](d17.png)
にシフトします。