スミス・エコー(リバース・スミス)に関連したディールを紹介します。
先ずは2015年の米国バンダービルト杯(春季北米チーム選手権)
決勝 第1セグメント、11番ボードから(ボードを回転)
![](s.png)
ディーラーSouthが21HCP程度のバランスハンドを表すオープニング
ビッドをしたのち、メジャーアスキングで4枚
![S](s17.png)
が明らかになって、3NTに
決まります。
両方のテーブル(決勝なので2チーム)ともWestは、ダミーから4枚
![H](h17.png)
が
出る可能性があるので、スモール
![C](c17.png)
をリード。
両テーブルとも全く同じプレー展開を見せます。
![C](c17.png)
リード→6→10→Jと進んで、ディクレアラーは
![D](d17.png)
AKQを取り、続けて
手元からスモール
![S](s17.png)
をリード。
ここでWestは?
![S](s17.png)
Aを上がって、ディクレアラー側の
![S](s17.png)
をブロックさせる。
それから
![H](h17.png)
にシフト。
ディクレアラーから
![H](h17.png)
Aが飛び出ます。
![C](c17.png)
Aに負けに行かないと9トリックに
達しません。
![S](s17.png)
をダミーのクイーンで取ると、5トリック(
![S](s17.png)
A+
![H](h17.png)
3個+
![C](c17.png)
A)
を失います。
ワンダウンでプッシュスコアになりました。
話を戻しまして。
第1トリックにダミーからスモールが引かれたので、Westの側からは
![C](c17.png)
を
攻めることが難しいと想像されます。というのはディクレアラーは手元の
![C](c17.png)
が弱いときには、ダミーからクイーンを引くからです。
![D](d17.png)
AKQに続けて
![S](s17.png)
が出されたとき、仮にWestがスモールを出すと?
ダミーの
![S](s17.png)
Qが勝ち、
![D](d17.png)
が走ったのちに、
![S](s17.png)
か
![C](c17.png)
で合計9トリックに達します。
そこでWestとしては
![S](s17.png)
Aを上がる必要があります。
ところでディクレアラーが
![D](d17.png)
AKQを取ったときに、Eastは何をするか?
パートナー間に約束があれば、「
![D](d17.png)
J10」を使ってスミス・エコーまたは
リバース・スミス。
そののち
![S](s17.png)
に興味が無いことをシグナルします。
Westひとりの判断でディフェンスできるハンドですが、シグナルも助けに
なるようです。
似たようなハンドはあるもので。
2016年 アジアパシフィック・ブリッジ連合(APBF) 北京大会
第14ラウンド 12番ボード
![](s.png)
![](s.png)
W | N | E | S | |
1![](d19.png) | P | P | 2NT | P | 3 * | P | 3![](h19.png) | P | 3NT | All | Pass | | | |
|
リオープン・ジャンプ2NTは18〜19HCP位でしょうか。
ペアの約束によって19〜20(21)もあると思います。
3NTに対してWestはオープニングリードの選択が苦しい。
結局は
![D](d17.png)
を出すことになりそう。
ディクレアラーは
![D](d17.png)
Jで勝ち、
![H](h17.png)
をフィネス。
Eastは
![H](h17.png)
Kを勝って、ここで?
(イ)
![D](d17.png)
を返すとディクレアラーは勝ち、手元の
![H](h17.png)
を取ってから、スモール
![S](s17.png)
をリード。ビッド経過から左手の
![S](s17.png)
Aが判っているので、ダミーの
![S](s17.png)
Jがエントリーになって、ほどなく9トリックに達します。Westが
![S](s17.png)
Aを上がって
![D](d17.png)
を攻めたときには、
![D](d17.png)
の4巡目でWestにスローイン
(throw-in)になります。
(ロ)Eastが
![C](c17.png)
を攻めたときには、スモール
![C](c17.png)
でも
![C](c17.png)
Jでもワンダウン。
(ハ)Eastが
![S](s17.png)
を攻めたときには、
「
![S](s17.png)
10→4→6」または「
![S](s17.png)
10→K→6」とエースをダックするか、
「
![S](s17.png)
10→K→A」と取ってから
![S](s17.png)
Jのエントリーを飛ばせばワンダウン。
「
![S](s17.png)
3→8→6」または「
![S](s17.png)
3→K」のときは、同上の手口でワンダウン。
仮にEastが
![H](h17.png)
Kをダックして、2巡目に取れたとしても結果は同じです。
そこで。
ディクレアラーが
![H](h17.png)
のフィネスをしたときに、Westはどの
![H](h17.png)
を?
ビッドからディクレアラーの
![H](h17.png)
が2枚と判っているので、カウントシグナル
は無用。というよりも、ディクレアラーの手元の
![H](h17.png)
が3枚のときには、
Eastの
![H](h17.png)
は1枚なので、カウントシグナルは役に立ちません。
というわけで。
パートナー間に約束があれば、
![H](h17.png)
でスミス・エコーまたはリバース・スミス。
![D](d17.png)
のリターンに興味が無いことをシグナルします。
スミス・シグナルの約束が無いときには、
![H](h17.png)
でスーツプリファランス・シグナル
を出せばパートナーには通じるものと思われます。
ちなみにオープニングリードに
![H](h17.png)
を出すとEastがキングで勝ちますが。
![S](s17.png)
リターンと
![C](c17.png)
リターンはワンダウン、
![D](d17.png)
リターンはスリーメイク。
なかなかうまく行かないものです。
2015年 NEC杯 第8ラウンド 29番ボード(ボードを回転)
![](s.png)
![](s.png)
W | N | E | S | |
1![](d19.png) | P | P | DBL | P | 1![](h19.png) | P | 1NT | P | 3NT | All | Pass | | | |
|
1
![D](d17.png)
オープンは好みの問題で。
「1
![H](h17.png)
」についても色々な意見がありそうです。
リオープンダブル後、1NTは15〜17(15〜18)HCP。
3NTに対してWestはオープニングリードの選択が厳しいですが、
スモール
![S](s17.png)
を出しそうです。
これに対してEastは「
![S](s17.png)
J」をフォロー。
この「ジャック」に関しては、
リンク →
サードハンド・プレー特殊編 をご参照ください。
ディクレアラーはキングで勝ち、
![D](d17.png)
を負けに行きます。
このときパートナー間に約束があれば、Eastは「
![D](d17.png)
95」でスミス・エコー
またはリバース・スミス。
![S](s17.png)
を続けることに興味が有ることをシグナルします。
Westからは
![S](s17.png)
を攻め、Eastからは
![H](h17.png)
シフトが明白。
ディフェンス次第ではWestが、
![H](h17.png)
と
![D](d17.png)
のスクイズにかかってしまいます。
第1トリックに戻って。
Eastが正しく「
![S](s17.png)
J」をフォローしていれば、Westはスモール
![S](s17.png)
で攻め
続けるでしょうから。スミス・シグナルが不要の状況ではあります。
米国「ザ・ブリッジワールド」誌 2015年8月号(60ページ)
“Improve your defense”
![](s.png)
Southの1
![D](d17.png)
オープン、Northの2
![C](c17.png)
ののち、コントラクトは3NT。
Westは「
![H](h17.png)
8」をリード。今ふうの出し方。
「9875」からは「8」、「K987」などからは「9」をリードします。
第1トリックは「
![H](h17.png)
8→10→K→A」と記事に書いてありますが。
Eastはキングを出していいのか?
「
![H](h17.png)
AQ98」に備えているのでしょう。
第2トリックは「
![C](c17.png)
4→5→J→A」。
ここでEastは?
ディクレアラーが最低でも9トリックを手中にしていることが判ります。
パートナーに「エースキングの4枚
![S](s17.png)
」を期待して、
![S](s17.png)
にシフト。
ビッドとプレーの経過から「
![S](s17.png)
AKxx」はあり得ないことではないと。
正しいリードカードは「
![S](s17.png)
Q」。
というのは、仮にWestが状況の把握を誤ると、
![S](s17.png)
で勝ったときに、
![S](s17.png)
では無いスーツにシフトしてくる可能性があると。
まず無いとは思いますが、念には念を入れるということでしょう。
ところで第2トリック、ディクレアラーが
![C](c17.png)
を出したとき。
Westは?
『パートナー間に約束があれば、スミス・エコーまたはリバース・スミス。
![H](h17.png)
のリターンに興味が無いことを表します』 と言いたいところですが。
第1トリックで
![H](h17.png)
スーツの状況は明らかではないかと。
シグナルが必要とされないディフェンスハンドのようです。
2007年 NEC杯 第6ラウンド 19番ボード
![](s.png)
ディーラーSouthの1NTオープンをNorthがゲームレイズします。
Westは
![S](s17.png)
10をリード。
ディクレアラーは手元で勝ち、
![H](h17.png)
をフィネスします。
結果的に
![C](c17.png)
のダブルフィネスが効いているので、Eastは
![H](h17.png)
Kを直ぐに
取らなければならない。
続けてEastは?
![D](d17.png)
にシフトしなければならない。
では第2トリックにWestはどの
![H](h17.png)
を?
![S](s17.png)
には将来性が無いことを教えたい。
約束があれば「
![H](h17.png)
542」を使って、スミス・エコーまたはリバース・スミス
を出します。
しかしながらディクレアラーが右の
ようなハンドのときには、
![C](c17.png)
シフトが
必要。
実際のハンドは
![D](d17.png)
シフトが必要です。
![](s.png)
では
![H](h17.png)
Kをスムースにダックして、2巡目を取る作戦は?
リバース・スミスなら、Westが最初に「
![H](h17.png)
5」を出す。
次に「
![H](h17.png)
4」で
![D](d17.png)
のスーツプリファランスを出す。
しかしながら、Eastは「542」からの「5→4」と読み切れるか?
また、ディクレアラーに
![H](h17.png)
のフィネスが抜けていることを察知されると、
![H](h17.png)
Aを上がって
![C](c17.png)
のダブルフィネスに切り替えられる可能性もあります。
Eastが最初に
![H](h17.png)
Kを取るかどうかも問題で、なかなか難しいです。