スミス・エコー(リバース・スミス)に関連したディールを紹介します。
先ずは2015年の米国バンダービルト杯(春季北米チーム選手権)
決勝 第1セグメント、11番ボードから(ボードを回転)
ディーラーSouthが21HCP程度のバランスハンドを表すオープニング
ビッドをしたのち、メジャーアスキングで4枚
が明らかになって、3NTに
決まります。
両方のテーブル(決勝なので2チーム)ともWestは、ダミーから4枚
が
出る可能性があるので、スモール
をリード。
両テーブルとも全く同じプレー展開を見せます。
リード→6→10→Jと進んで、ディクレアラーは
AKQを取り、続けて
手元からスモール
をリード。
ここでWestは?
Aを上がって、ディクレアラー側の
をブロックさせる。
それから
にシフト。
ディクレアラーから
Aが飛び出ます。
Aに負けに行かないと9トリックに
達しません。
をダミーのクイーンで取ると、5トリック(
A+
3個+
A)
を失います。
ワンダウンでプッシュスコアになりました。
話を戻しまして。
第1トリックにダミーからスモールが引かれたので、Westの側からは
を
攻めることが難しいと想像されます。というのはディクレアラーは手元の
が弱いときには、ダミーからクイーンを引くからです。
AKQに続けて
が出されたとき、仮にWestがスモールを出すと?
ダミーの
Qが勝ち、
が走ったのちに、
か
で合計9トリックに達します。
そこでWestとしては
Aを上がる必要があります。
ところでディクレアラーが
AKQを取ったときに、Eastは何をするか?
パートナー間に約束があれば、「
J10」を使ってスミス・エコーまたは
リバース・スミス。
そののち
に興味が無いことをシグナルします。
Westひとりの判断でディフェンスできるハンドですが、シグナルも助けに
なるようです。
似たようなハンドはあるもので。
2016年 アジアパシフィック・ブリッジ連合(APBF) 北京大会
第14ラウンド 12番ボード
W | N | E | S | |
1 | P | P | 2NT | P | 3* | P | 3 | P | 3NT | All | Pass | | | |
|
リオープン・ジャンプ2NTは18〜19HCP位でしょうか。
ペアの約束によって19〜20(21)もあると思います。
3NTに対してWestはオープニングリードの選択が苦しい。
結局は
を出すことになりそう。
ディクレアラーは
Jで勝ち、
をフィネス。
Eastは
Kを勝って、ここで?
(イ)
を返すとディクレアラーは勝ち、手元の
を取ってから、スモール
をリード。ビッド経過から左手の
Aが判っているので、ダミーの
Jがエントリーになって、ほどなく9トリックに達します。Westが
Aを上がって
を攻めたときには、
の4巡目でWestにスローイン
(throw-in)になります。
(ロ)Eastが
を攻めたときには、スモール
でも
Jでもワンダウン。
(ハ)Eastが
を攻めたときには、
「
10→4→6」または「
10→K→6」とエースをダックするか、
「
10→K→A」と取ってから
Jのエントリーを飛ばせばワンダウン。
「
3→8→6」または「
3→K」のときは、同上の手口でワンダウン。
仮にEastが
Kをダックして、2巡目に取れたとしても結果は同じです。
そこで。
ディクレアラーが
のフィネスをしたときに、Westはどの
を?
ビッドからディクレアラーの
が2枚と判っているので、カウントシグナル
は無用。というよりも、ディクレアラーの手元の
が3枚のときには、
Eastの
は1枚なので、カウントシグナルは役に立ちません。
というわけで。
パートナー間に約束があれば、
でスミス・エコーまたはリバース・スミス。
のリターンに興味が無いことをシグナルします。
スミス・シグナルの約束が無いときには、
でスーツプリファランス・シグナル
を出せばパートナーには通じるものと思われます。
ちなみにオープニングリードに
を出すとEastがキングで勝ちますが。
リターンと
リターンはワンダウン、
リターンはスリーメイク。
なかなかうまく行かないものです。
2015年 NEC杯 第8ラウンド 29番ボード(ボードを回転)
W | N | E | S | |
1 | P | P | DBL | P | 1 | P | 1NT | P | 3NT | All | Pass | | | |
|
1
オープンは好みの問題で。
「1
」についても色々な意見がありそうです。
リオープンダブル後、1NTは15〜17(15〜18)HCP。
3NTに対してWestはオープニングリードの選択が厳しいですが、
スモール
を出しそうです。
これに対してEastは「
J」をフォロー。
この「ジャック」に関しては、
リンク →
サードハンド・プレー特殊編 をご参照ください。
ディクレアラーはキングで勝ち、
を負けに行きます。
このときパートナー間に約束があれば、Eastは「
95」でスミス・エコー
またはリバース・スミス。
を続けることに興味が有ることをシグナルします。
Westからは
を攻め、Eastからは
シフトが明白。
ディフェンス次第ではWestが、
と
のスクイズにかかってしまいます。
第1トリックに戻って。
Eastが正しく「
J」をフォローしていれば、Westはスモール
で攻め
続けるでしょうから。スミス・シグナルが不要の状況ではあります。
米国「ザ・ブリッジワールド」誌 2015年8月号(60ページ)
“Improve your defense”
Southの1
オープン、Northの2
ののち、コントラクトは3NT。
Westは「
8」をリード。今ふうの出し方。
「9875」からは「8」、「K987」などからは「9」をリードします。
第1トリックは「
8→10→K→A」と記事に書いてありますが。
Eastはキングを出していいのか?
「
AQ98」に備えているのでしょう。
第2トリックは「
4→5→J→A」。
ここでEastは?
ディクレアラーが最低でも9トリックを手中にしていることが判ります。
パートナーに「エースキングの4枚
」を期待して、
にシフト。
ビッドとプレーの経過から「
AKxx」はあり得ないことではないと。
正しいリードカードは「
Q」。
というのは、仮にWestが状況の把握を誤ると、
で勝ったときに、
では無いスーツにシフトしてくる可能性があると。
まず無いとは思いますが、念には念を入れるということでしょう。
ところで第2トリック、ディクレアラーが
を出したとき。
Westは?
『パートナー間に約束があれば、スミス・エコーまたはリバース・スミス。
のリターンに興味が無いことを表します』 と言いたいところですが。
第1トリックで
スーツの状況は明らかではないかと。
シグナルが必要とされないディフェンスハンドのようです。
2007年 NEC杯 第6ラウンド 19番ボード
ディーラーSouthの1NTオープンをNorthがゲームレイズします。
Westは
10をリード。
ディクレアラーは手元で勝ち、
をフィネスします。
結果的に
のダブルフィネスが効いているので、Eastは
Kを直ぐに
取らなければならない。
続けてEastは?
にシフトしなければならない。
では第2トリックにWestはどの
を?
には将来性が無いことを教えたい。
約束があれば「
542」を使って、スミス・エコーまたはリバース・スミス
を出します。
しかしながらディクレアラーが右の
ようなハンドのときには、
シフトが
必要。
実際のハンドは
シフトが必要です。
では
Kをスムースにダックして、2巡目を取る作戦は?
リバース・スミスなら、Westが最初に「
5」を出す。
次に「
4」で
のスーツプリファランスを出す。
しかしながら、Eastは「542」からの「5→4」と読み切れるか?
また、ディクレアラーに
のフィネスが抜けていることを察知されると、
Aを上がって
のダブルフィネスに切り替えられる可能性もあります。
Eastが最初に
Kを取るかどうかも問題で、なかなか難しいです。