アップサイドダウンはアティテュード・シグナルを出すときには、
スタンダードよりも有利です。
しかしながらディフェンスの状況によっては工夫が必要なようです。
W | N | E | S | |
| | | 1 | P | 2 | All | Pass | | | |
|
オープニングリードは
9。
ダミーからスモールが引かれ、Eastは?
「
4」を出すとエンカレッジになるからまずい。
そこで「
J」を出したとします。
ディクレアラーはキングで勝ち、切り札を狩り集めます。
Westは2巡目をエースで勝ち、再び
を攻めた。
結果はスリー・メイク。
このディフェンスの失敗を、先ずWestの立場から。
仮にディクレアラーに
Kxxと、
か
いずれかのエースがあるとき
には、ウェイティング・ディフェンス(消極的 passive ディフェンス)は
通用しません。
か
、どちらかのスーツへのシフトが求められます。
実際のディールはどちらでもディフェンス側が6トリックを取ります。
次にEastの立場から。
第1トリックの「
J」が、パートナーに「QJx」と誤解させています。
この状況で「J10x」からは、「10」をフォローするのが正しい。
逆に「QJ10」と持っていて、パートナーにこのスーツのストッパーを
示唆するときには、「ジャック」をフォローします。
ということは、「10」はこのスーツのストッパーが無いことを示唆します。
もちろんスタンダードシグナルなら「
4」をフォローするだけの話です。
何ごとも便利さの裏には…。
ディールはマーシャル・マイルズ(Miles)、“Defensive Signals”から
引用しました。
ノートランプコントラクトに対してアナーカードがリードされたとき。
以下の配置でアップサイド・ダウンの「2」をフォローしてエンカレッジ
すると、スーツがブロックします。
ダミー 7
KQ953 □ A102
J864
ダミー 7
AK953 □ Q102
J864
いずれの例もフォース(fourth)ベストのリードなら簡単に5連勝です。
しかしながら昨今の研究では、このような持ち方からはアナーカードの
リードの方が有利なことが多いと明らかになっています。
そこで。
ノートランプコントラクトに対する「キング」のリードで、ダミーがスモール
シングルトンまたはダブルトンのとき。
アップサイド・ダウンの約束が、スタンダードシグナルに切り替わる。
以下も同じような配置です。
ダミー 10
KQ864 □ J92
A753
ダミー 10
AK864 □ Q92
J753
サードハンドは「9」でエンカレッジします。
スウェーデンのアンダース・ワーグレン(アンデシュ・ヴィアグレン、
Anders Wirgren)の発案による「スキャニアン(Scanian)・シグナル」は、
通常はスタンダード・アティテュードを使い、以下のふたつを例外とします。
(1)ダミーにフィネス可能なカードがあるとき
ダミー J753
AK104 □ Q82
96
エース(またはキング)のリードに対して、サードハンドは「2」で
エンカレッジ。続けてオープニングリードの側は「10」を出して、
「9」をピンニングします。
(2)オープニングリードの側が短いとき、
またはサードハンドの側が長いと判っているとき
ダミー AJ
864 □ KQ102
9753
オープニングリードをダミーがエースで取ったとき。
サードハンドはアップサイド・ダウンの「2」でエンカレッジします。
その他。
エディ・カンター(Kantar)は、「スーツの長い側はアップサイド・ダウンを、
スーツの短い側はスタンダードシグナル」にすることを提唱しています。
キット・ウールジー(Woolsey)は、「ノートランプのオープニングリードに
対してはスタンダードシグナルを、その他の状況はアップサイド・ダウン」
を提唱しています。
簡単な取り決めですが、これだけでもアップサイド・ダウンが苦手とする
多くの状況をカバーするものと思われます。
ブリッジウィナーズのウェブサイトの投稿でも議論されています。
興味のある方はご参照ください。
リンク →
アップサイド・ダウンからスタンダードに切り替える状況について