トランプ・スーツプリファランスに関連する驚きのディールがありました。
2000年 米国バンダービルト杯 決勝 最終ボード
ディーラーEast、EWバル
![](s.png)
ベストコントラクトは6
![H](h17.png)
。
![D](d17.png)
リードのときには、
![H](h17.png)
がノールーザーなら問題なし。ディフェンス側に
クイーンの3枚
![H](h17.png)
があるときにも、
![C](c17.png)
が走れば仕上がります。Eastの
側から
![S](s17.png)
リードのときにも、実際のディールのように
![S](s17.png)
ワンルーザーで
正当なメイクチャンスがあります。
片側のテーブルでは:
![](s.png)
N:Weinstein
S:Levin
E:Meckstroth
W:Rodwell
1
![D](d17.png)
オープンののち6
![H](h17.png)
に辿り着くのは容易ではありませんが、
いささか淡泊なビッド経過に見えます。
反対側のテーブルでは:
![](s.png)
W | N | E | S | |
| | P | 2![](c19.png) | P | 2NT | P | 3![](c19.png) | P | 3![](h19.png) | P | 3![](s19.png) | P | 5![](d19.png) | P | 5![](s19.png) | P | 6![](s19.png) | P | P | P | | |
|
N:Soloway
S:Hamman
E:Zia
W:Rosenberg
2
![C](c17.png)
はナチュラル、2NTはゲームフォーシング・リレー。3
![C](c17.png)
はミニマム、
3
![H](h17.png)
はメジャー・2スーター。5
![D](d17.png)
はエクスクルージョンKCBです。
のちにソロウェイは、3
![S](s17.png)
は単なるプリファーだから5
![S](s17.png)
に続けて6
![H](h17.png)
を
ビッドするべきだったと述懐しています。
6
![S](s17.png)
に対するローゼンバーグのオープニングリードは
![D](d17.png)
5。
ボイドを知っているので、エースキングからのアンダーリード。
ダミーラフ→
![D](d17.png)
7→
![D](d17.png)
3と進みます。
ディクレアラーは切り札を集めるしか手立てがありません。
手元の
![S](s17.png)
Aを取り、
![S](s17.png)
9を出します。
Westから
![S](s17.png)
Kが飛び出て、ここで?
実際は
![S](s17.png)
5-2でプレーしているので、
![D](d17.png)
を出してダミーで切らせれば、
結果はスリーダウン。
ところが。
Eastが
![S](s17.png)
を「2、8」と出したものだから、Westは「1082」を想定した。
となるとディクレアラーが3=1=1=8か3=0=2=8で、Eastが
![C](c17.png)
ボイドの
ときにコントラクトはダウンする。というわけで、
![C](c17.png)
を出した。
最終ボードで出来ないスラムがメイクして優勝がひっくり返りました。
このEWペアは、切り札ではスーツプリファランスを出す約束でした。
もし、EWペアが切り札の枚数を表すトランプ・エコーを出す約束なら、
「
![S](s17.png)
1082」からは「8→2(→10)」とエコーが出ます。
「
![S](s17.png)
10872」からは「2→8→7(→10)」と出ます。
従って、このディールでは結果的にトランプエコーの約束が良かったと。
このディールがプレーされたのは2000年のことです。
このディールではトランプエコーの方が有利でしたが、流行はトランプ・
スーツプリファランス・シグナルに傾いていたようです。
米国ブリッジワールド誌2016年4月号(32頁)に、
“Bridge World Standard 2017”
に関する統計調査結果が載っています。
ブリッジワールド誌の選んだパネリストに対する要求は:
「対戦したエキスパートがスタンダードスタイル・ビディングシステムを
使っているとき、
よく遭遇する取り決めは何か?」です。
質問704:切り札に於いて、もしディフェンス側が何らかのシグナルを
出すとしたら、基本的に何を意図するか?
A.カウント(切り札の枚数) 10%
B.スーツプリファランス 64%
C.ディフェンス側で明らかに問題になっているとき
に限りスーツプリファランス、それ以外はカウント 26%
切り札では、持っている切り札の枚数を表すカウントシグナル
(トランプ・エコー)を出すのが伝統的な手口なのですが。
どうやらスーツプリファランスに切り替わったようです。