トランプ・スーツプリファランスに関連する驚きのディールがありました。
2000年 米国バンダービルト杯 決勝 最終ボード
ディーラーEast、EWバル

ベストコントラクトは6

。

リードのときには、

がノールーザーなら問題なし。ディフェンス側に
クイーンの3枚

があるときにも、

が走れば仕上がります。Eastの
側から

リードのときにも、実際のディールのように

ワンルーザーで
正当なメイクチャンスがあります。
片側のテーブルでは:

N:Weinstein
S:Levin
E:Meckstroth
W:Rodwell
1

オープンののち6

に辿り着くのは容易ではありませんが、
いささか淡泊なビッド経過に見えます。
反対側のテーブルでは:

W | N | E | S | |
| | P | 2 | P | 2NT | P | 3 | P | 3 | P | 3 | P | 5 | P | 5 | P | 6 | P | P | P | | |
|
N:Soloway
S:Hamman
E:Zia
W:Rosenberg
2

はナチュラル、2NTはゲームフォーシング・リレー。3

はミニマム、
3

はメジャー・2スーター。5

はエクスクルージョンKCBです。
のちにソロウェイは、3

は単なるプリファーだから5

に続けて6

を
ビッドするべきだったと述懐しています。
6

に対するローゼンバーグのオープニングリードは

5。
ボイドを知っているので、エースキングからのアンダーリード。
ダミーラフ→

7→

3と進みます。
ディクレアラーは切り札を集めるしか手立てがありません。
手元の

Aを取り、

9を出します。
Westから

Kが飛び出て、ここで?
実際は

5-2でプレーしているので、

を出してダミーで切らせれば、
結果はスリーダウン。
ところが。
Eastが

を「2、8」と出したものだから、Westは「1082」を想定した。
となるとディクレアラーが3=1=1=8か3=0=2=8で、Eastが

ボイドの
ときにコントラクトはダウンする。というわけで、

を出した。
最終ボードで出来ないスラムがメイクして優勝がひっくり返りました。
このEWペアは、切り札ではスーツプリファランスを出す約束でした。
もし、EWペアが切り札の枚数を表すトランプ・エコーを出す約束なら、
「

1082」からは「8→2(→10)」とエコーが出ます。
「

10872」からは「2→8→7(→10)」と出ます。
従って、このディールでは結果的にトランプエコーの約束が良かったと。
このディールがプレーされたのは2000年のことです。
このディールではトランプエコーの方が有利でしたが、流行はトランプ・
スーツプリファランス・シグナルに傾いていたようです。
米国ブリッジワールド誌2016年4月号(32頁)に、
“Bridge World Standard 2017”
に関する統計調査結果が載っています。
ブリッジワールド誌の選んだパネリストに対する要求は:
「対戦したエキスパートがスタンダードスタイル・ビディングシステムを
使っているとき、
よく遭遇する取り決めは何か?」です。
質問704:切り札に於いて、もしディフェンス側が何らかのシグナルを
出すとしたら、基本的に何を意図するか?
A.カウント(切り札の枚数) 10%
B.スーツプリファランス 64%
C.ディフェンス側で明らかに問題になっているとき
に限りスーツプリファランス、それ以外はカウント 26%
切り札では、持っている切り札の枚数を表すカウントシグナル
(トランプ・エコー)を出すのが伝統的な手口なのですが。
どうやらスーツプリファランスに切り替わったようです。