切り札を使ってスーツプリファランス・シグナルを出そうと。
普通はサイドスーツでスーツプリファランスを出すのですが、
「いま切り札でシグナルを出すしかないとき」に使います。
私が最初に見かけたのは1998年の世界選手権ミックスド・ペア戦。
ディーラーSouth、EWバル
![](s.png)
Southの1
![S](s17.png)
オープンから始まり、Northがレイズして4
![S](s17.png)
になります。
オープニングリードはスモール
![D](d17.png)
。ダミースモール→
![D](d17.png)
3→
![D](d17.png)
10と進み、
Westの側からはパートナーの「
![D](d17.png)
3シングルトン」が明らかです。
ディクレアラーは
![S](s17.png)
を出して、Eastは直ぐにエースで取る。
ここで?
実際は
![H](h17.png)
が正解なのですが、ダミーの眺めからは
![H](h17.png)
を出すのは抵抗
があります。
というか。
Westが「
![S](s17.png)
10」で
![H](h17.png)
Aを表したのですが。
伝わったでしょうか?
![H](h17.png)
AでWestに入れ、
![D](d17.png)
をラフすればジャストメイク。
実際はEastが
![C](c17.png)
を出して5メイク。
Westの白人男性は「
![S](s17.png)
10を出したんだけどな〜」と苦笑いしていました。
このディールは、ほぼ全テーブルでコントラクトが4
![S](s17.png)
になりそうです。
ペア戦ですから4メイクと5メイクの差は大きい。
最初に戻って。仮にスモール
![H](h17.png)
をリードすれば、ダミーの
![H](h17.png)
Jでフィネス
したとして、Eastが
![H](h17.png)
Qを出して勝ったとして。ここでシングルトン
![D](d17.png)
に
シフト。この経過は1ダウンになりますが、さすがにそこまでやる人は
いないものと思われます。
2002年 世界選手権オープンペア戦
ディーラーWest、ノンバル
![](s.png)
![](s.png)
W | N | E | S | |
P | P | 1NT | DBL* | 2 * | P | 2![](h19.png) | 2![](s19.png) | P | P | 3![](h19.png) | 3![](s19.png) | All | Pass | |
|
ダブル = ワンスーターの
オーバーコール
2
![D](d17.png)
= トランスファー(
![H](h17.png)
)
3
![S](s17.png)
に対してWestはスモール
![H](h17.png)
をリード。
Eastはエースで勝ち、「
![H](h17.png)
6」を返します。
ディクレアラーは
![H](h17.png)
Kを勝ち、手元から
![S](s17.png)
Jをリード。
「足止め」です。
Westは1回は足止めをくらい、2回目を
![S](s17.png)
Aで勝ちます。
ここで?
ダミーの眺めからは
![C](c17.png)
を出しそう。
その前に。
Eastはどの
![S](s17.png)
をフォローしましたか?
![S](s17.png)
Hi-Loで、
![D](d17.png)
スーツを示唆します。
いや、この際、
![H](h17.png)
示唆でも構わない。
Westが
![D](d17.png)
にシフトするか
![H](h17.png)
を続ければ、ジャストメイク。
Westが
![C](c17.png)
にシフトすると、
![C](c17.png)
がノールーザーになって、4メイクです。
ディーラーNorth、EWバル
![](s.png)
Northは1
![D](d17.png)
オープンして、Southの1
![H](h17.png)
レスポンスを2
![H](h17.png)
にレイズします。
オープナーは弱いダブルトン(ここでは
![S](s17.png)
)があるときには、強い3枚メジャー
でレイズするのが米国流。
レスポンダーは「2
![S](s17.png)
」とヘルプスーツ・ゲームトライを展開。
オープナーは「3
![D](d17.png)
」と良い5枚(トリックの素 = source of tricks)を表し、
レスポンダーが
![D](d17.png)
Kを当てに4
![H](h17.png)
をビッドします。
Westは「
![H](h17.png)
9」をリード。
ディクレアラーはダミーで勝ち、スモール
![D](d17.png)
を引いてキングの勝ち。
続けて手元から
![D](d17.png)
を出して、
![D](d17.png)
Aが勝ちます。
ここでEastは?
![H](h17.png)
、
![D](d17.png)
または
![C](c17.png)
シフトは4〜5メイク。
![S](s17.png)
を攻め続け、
![D](d17.png)
Aと合わせて3トリックを確保。
さらに
![S](s17.png)
をダミーでラフさせることで、
![D](d17.png)
スーツを使えなくさせてワンダウン。
ところが仮にディクレアラーが、
![S](s17.png)
AQx
![H](h17.png)
Q10xxx
![D](d17.png)
Kx
![C](c17.png)
Jxx
のときには
![S](s17.png)
は失敗。
![C](c17.png)
を攻めれば3連勝です。
では
![S](s17.png)
か
![C](c17.png)
かが何故わかる?
オープニングリードにWestが「
![H](h17.png)
9」を出した。
これが
![S](s17.png)
の強さを示唆するスーツプリファランス・リードになっています。
仮に
![C](c17.png)
スーツの強さを示唆したいときには「
![H](h17.png)
4」をリードします。
では
![S](s17.png)
にも
![C](c17.png)
にも何も無いときには?
これも「4」を出します。但しそのときにはEastは点数がたくさんある
はずなので、Westには点が無いことが最初からわかっているはずです。
ディールは米国「ブリッジワールド」誌1997年3月号の
“Kantar for the defense”から引用しました。
エドウィン・カンターの解説には「ディクレアラーが切り札を回収していて、
ディフェンス側のラフが差し迫っていないとき。切り札の枚数を教える
シグナルではなく、切り札でスーツプリファランス・シグナルを出すことは
上級者の間では当然のように受け入れられている」とあります。
米国ブリッジ連盟(ACBL)発行「ブリッジ百科事典(Encyclopedia)」
には以下のディールが。
![](s.png)
Southの4
![S](s17.png)
。
Westはダブルトン
![C](c17.png)
をリード。
Eastは
![C](c17.png)
Jを出して、エースの勝ち。
ディクレアラーはトランプを狩り集めます。
このときWestは「
![S](s17.png)
5→4→3→2」とフォロー。
続けてディクレアラーは
![C](c17.png)
をキングに負けに行きます。
Eastは
![C](c17.png)
Kを取って、スモール
![H](h17.png)
にシフト。
ディフェンスは
![H](h17.png)
を出し続け、ディクレアラーは
![D](d17.png)
が手出しになります。
Westの
![S](s17.png)
の出し方は、
![S](s17.png)
の枚数を教えるものでは無いということで。
![S](s17.png)
の枚数を教えても仕方ないし。
![H](h17.png)
スーツを示唆するトランプ・スーツプリファランス・シグナルです。