どのようなビディングシステムも全てのハンドを完璧に表すことはなく。
様々なコンベンションを導入しても何処かには欠点があります。
そこを工夫するのが判断の妙で。
例えば。
米国「ブリッジワールド」誌 2016年1月号
ペア戦、EWバル


何をビッドしますか?
ゲームインビテーションの強さを表すビッドは「2NT」と「3

」。
フォース(fourth)スーツ・フォーシングの「3

」は、パートナーから
3NTが返ってくる可能性があるので、ゲームフォーシングになります。
パネル回答者(29名)の選択は、
3

= 9名、
3

= 5名、
2NT = 5名、
2

= 5名、
2

= 4名、
3

= 1名
でした。
マッチポイント・ペア戦なので、アンダービッドを選んでプラスのスコアを
守る人も多いようです。
にしても「2

」しかビッドしない人が29人に5人、ほぼ6分の1。

Qと

Qは役立っているはずで、

Kは「109」に伴われており、

Aの
価値は明白です。「2

」はアンダービッドに見えます。
さりとて「3

」には

スーツの内容が悪く。
「2NT」は6枚

があり、絵札の配置と

の持ち方が向いていない。
実質的にゲームフォーシングの「3

」を選ぶ人は、大幅なアンダービッド
をするよりも、ゲームコントラクトになる方を選んでいます。
さて、「2

」は?
解説のデビッド・バーコウィッツ(Berkowitz)によりますと典型的に、

KQxxxx

x

xx

Jxxx
のようなハンドを表すと。
仮に1

オープンに対する2

レスポンスが、長いスーツと弱いハンドを
表すウィーク(weak)ジャンプなら、この経過で2

を選ぶ人はより多い
かもしれません。
2

のビッドを選んだ人達の意見は、
マッチポイントだからとか、
オープナーが典型的に1=5=4=3のミニマムなら2

で十分とか、
オープナーが仮に14点でも良いゲームコントラクトは無いとか。
その中で、「2

は前向き(forward-going)のビッドである」という意見の
人もひとりだけいて。
以下のディールを思い出しました。
2016年1月 日本リーグ 第10ラウンド 13番ボード
ディーラーNorth 双方バル

実際のオークション経過は以下の通り。


結果は3

、3NTともに4メイク。
レスポンダーは「2

」で抑え気味にビッドして。
オープナーは余裕があることを「2NT」で表し。
片方のテーブルの「3

」はフォーシングのつもりでビッドしたようです。
もう片方ではさっさと「3NT」にレイズ。
深みというか、味わいがあります。
私などは例えば、

2

= ニュースーツ、
ワンラウンド・フォーシング
3NT = ランニング

スーツを示唆
とか、

のような素朴なビッドしか思いつかないのでありますが。
良いビッドの秘訣は。
複雑なシステムやコンベンションを採用することではなく、ビッドの正確な
判断と、細部でのパートナー間の摺り合わせが重要である、と。
エリック・コキッシュ(Kokish)が何かの本で書いていたのを思い出しました。