リードは普通ですか?2015年09月
 清水のブリッジブログ

     ディクレアラーがディフェンス側に尋ねます。
     「リードは普通ですか?」
     これは、
     「(パートナーとの)リードの約束はどのようになっていますか?」
     という意味の質問です。

     先ず、対戦相手に質問するとき「普通」という言葉はトラブルの元です。
     自分達と対戦相手とでは「普通」が異なることもあるからです。
     例えばスーツコントラクトに「AK73」から「エース」をリード?
     「キング」をリード?  どちらが「普通」かは決められていません。

     次に、この質問は「パートナーとの約束」を尋ねています。
     リードされたスーツの「実際の持ち方」は尋ねていません。
     例えば「D5」がリードされて。
     4枚以上からは上から4番目、「フォース(fourth)ベスト」の約束だとしても。
     もし「シングルトン」だとしたら、「シングルトン・リードです」と答えなければ
     嘘になるのか?
     まさか。
     「フォース(fourth)ベスト」とか、「トップ・オブ・ナッシング(nothing)」だとか、
     「ダブルトンは上」と答えても、それはパートナーとの約束を言っています。
     実際の持ち方は、リードした本人しか知らない。
     いや、リードした本人すら手元のカードを並べ間違えていることがある。
     やはり「約束」しか答えられない。

     「エースキングからはどちらをリードしますか?」
     このように聞くのが正しいです。
     この場合、「エースキングの3枚以上からはエースで、エースキング・
     ダブルトンからはキング」と答える必要があるか?
     これはある人には「常識」、別の人には「そんなの知らない」です。
     微妙なところ。
     もちろん「パートナーとの約束を全てを言う」のが正しいです。



     「一般的な、リードの約束」
     JCBLコンベンションカードの記載に基づくと以下の通りです。

     スーツコントラクトに対して
        エースキングの3枚以上からは「キング」
        エースキング・ダブルトンは「エース」
        絵札のシークエンスは「トップ」
        インテリア・絵札シークエンスの「トップ」
        フォース(fourth)ベスト
        トップ・オブ・ナッシング
        トップ・オブ・ダブルトン

     ノートランプコントラクトに対して
        「エース」のリードは極めて強い
           (絵札のアンブロックまたはカウントシグナルを要求。
            HUB or CT = Honor UnBlockまたはCounTシグナル)
        絵札のシークエンスは「トップ」
        インテリア・絵札シークエンスの「トップ」
        フォース(fourth)ベスト
        トップ・オブ・ナッシング
        トップ・オブ・ダブルトン



     「特殊な、リードの約束」
     色々ありますが国内で見かけることが多いものは以下のとおり。
     解説が必要と思われるものはリンクさせてあります。

     スーツコントラクトに対して
        Ace from A-K
        Third and lowest
        Third and fifth
        Rusinow
        MUD
        Second-fourth
        Ace for attitude,King for count

     ノートランプコントラクトに対して
        Queen from KQ109
        Zero or two higher
        Jack denies,ten implies
        Attitude
        King shows power,Ace requests attitude

     「ジャーナリスト・リード」
        米国「ブリッジ・ジャーナル」誌(1967年廃刊)で1964-65年にかけて
        研究提唱されたオープニングリードの約束です。基本的には
        「Rusinow、Third and lowest、Zero or two higher honor、Attitude」
        の組み合わせです。

     「スラヴィンスキー(Slawinski)・リード」
        これを使っているペアは今の日本ではいないのでは?
        世界チャンピオン「ファントーニ & ヌーン」のペアが使っているので
        注目されましたが、捕まったので(不正行為(7)参照)、これからも
        人気は出ないと思われます。
        興味のある方は以下を参考にして下さい。
            ACBL版 Encyclopedia of Bridge(440頁)
            The Bridge World 2009年4月号(74頁)
        ウェブ上に Lukasz Slawinskiの著書のコピーがあります。
            リンク → “Systems in defense”



     意図的にパートナーとの約束とは違うカードをリードするとき

     状況によってはパートナーとの約束を破って、「わざと」違うカードを
     リードすることがあります。
     ウィリアム・ルート(Root)著“How to defend a bridge hand”から
     2例を引用します。
W
KJ5
9852
AJ3
764
N
ダミー
A1098
J4
76
AQJ102
E
743
A63
Q9852
95
S
ディクレアラー
Q62
KQ107
K104
K83

WNES
1P1
P1P3NT
     Southの3NTに対して、オープニングリードにアンビッドスーツのD
     出すなら、「DJ」または「DA」を選ばなければなりません。
     (DAの方が「いま風」と思われます。このエースのリードに対して
      パートナーは、自分がDを5枚も持っているので状況を察知します。
      クイーンを捨ててはいけません。)

W
West
10863
J2
AQ108
954
WNES
1NT
P3NTPP
P


     Dリードは1NTオープナーに打ち込む可能性が高いので、Sを出します。
     「S8」をリードしてトップ・オブ・ナッシングを装います。

     米国「ブリッジ・ワールド」誌 2015年7月号
     IMPチーム戦、ノンバル
W
West
K9862
873
98
J74
WNES
1NT
P2P2
P3NTPP
P
     無難にアンビッドのDを出すか、ディクレアラーの4枚Sを攻めるか。
     Sを攻めるなら、パートナーとの約束はフォース(fourth)ベストですが、
     「S2」をリードします。ここでSリードが4枚なんて誰も思わないでしょう。
     状況的にSをリードすることが5枚以上を強く示唆していて、のちのち
     「S6」が必要になる可能性が高いです。
     パネル回答者29名の選択は、D9(14名)100点、S2(3名)90点、
     S6(6名)80点、Sx(1名)80点、H8(3名)60点、C4(2名)50点
     でした。


     このようにパートナーとの約束を破って、「わざと」違うカードをリードする
     ことは規則違反ではありません。
     パートナーとの約束であって、対戦相手との約束ではないからです。
     しかしながら。
     このようなことを、何回も何回も何回もするようなら。
     「パートナーとの約束とは違うカードをリードすることを、パートナーと約束
     している」と解釈されます。
     となると。
     そのような傾向があることを対戦相手に言わなければなりません。
     パートナー間の取り決めと経験の情報開示(disclosure)です。
     これを怠ると?
     (イ)対戦相手にスコア損害がある。
     (ロ)取り決めが正しく開示されていない。
     (ハ)因果関係が認められる。
     このようなときにはディレクターがスコアを調整します。




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