今年の夏に始まった不正ブリッジ追及の動きは、イスラエル若手のロー
タン・フィッシャー(Fisher)とロン・シュワルツ(Schwartz)の「F-S ペア」
を槍玉にあげたのち、矛先が世界ブリッジ連合(WBF)世界プレーヤー
ランキング、第1位のファントーニ(Fantoni)と第2位のヌーン(Nune)の
「F-N ペア」へと向いています。「F-N」はイタリア出身ですが、2012年
からはモナコ代表チームでプレーしています。
9月27日からインドで開催される世界チーム選手権を、イスラエルと
モナコは出場辞退。ヨーロッパのブリッジ界は大騒ぎです。
8月31日、北欧ブリッジ連合からヨーロッパ連合(EBL)へ調査要請。
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Nordic Bridge Union 書簡 EBL回答は9月8日。
9月14日、ヨーロッパブリッジ連合(EBL)が調査開始を発表。
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EBL 声明 9月17日、調査委員会委員長にオランダ連盟出身のEBL理事、
エリック・ローラン(Laurant)を任命。
9月17日、世界ブリッジ連合(WBF)が声明を発表。
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WBF プレスリリース これに先立つ9月16日に、オランダブリッジ連盟からEBL会長へ
宛てた書簡が公表されました。
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NBB 書簡 オランダには日常的にブリッジをする人が16万人いると伝え聞きます。
オランダ連盟会員が8万6千人ですから、ほぼ同数の非会員のブリッジ
愛好者がいるのでしょう。国民のほぼ100人に1人がブリッジ愛好者と
なると、日本だと人口比で120万人以上。ブリッジ関連産業の発達も著
しいようです。世界選手権も優勝を含め上位の常連。連盟のアセり方も
ただならぬものがあると思います。
以下、抄訳します。
『ロータン・フィッシャー - ロン・シュワルツ、 フルヴィオ・ファントーニ
- クラウディオ・ヌーンの地位とその影響について
先週に公開された情報によりますと、ロータン・フィッシャー - ロン・
シュワルツのもたらしたブリッジ結果について、2014から2015年
の時期及び過去にさかのぼって、疑問が呈されています。
(中略)
さらに今週に入って、フルヴィオ・ファントーニ - クラウディオ・ヌーン
もまた、そのもたらしたブリッジ結果について、2014から2015年の
時期及び過去にさかのぼって、疑問が呈される情報が公開されてい
ます。このことがEBL(及びWBF)のコア・コンピタンスに影響すること
は明白です。フェアなコンペティションはEBLとWBFの「レゾンデートル」
であります。国際ブリッジ、とりわけEBLの競技会に対するイメージが
危機に陥っています。
(中略)
以上からEBL理事会に対して、これらの疑惑の調査と、国際ブリッジ
とEBL及びWBFの競技会の信頼回復の為に適切な措置を取るべく、
早急なるアクションを要求するものです。』
「コア・コンピタンス」は、この文書では「ブランド価値」くらいの意味です。
こんな言葉を使うということは、会長周辺に知恵者がいるのでしょう。
「レゾンデートル」。久しぶりに見ました。存在価値、存在理由、存在意義。
「公平な競争(fair competition)が ‘raison d’être’ 」。
この書簡を読んだジェフ・メックストロース(Meckstroth)の書き込みが
なかなかイケていて。
“Kudos to the Dutch !
How long can the EBL keep it's head in the sand ?”
「オランダ素晴らしい!
ヨーロッパブリッジ連合はいつまで頭を砂の中に突っ込んでいるんだ?」
みたいな感じでしょうか。
ブリッジ界は国際的に当たり年になってしまったようで。
「これからブリッジはどうなってしまうのか」という不安の声に、
ボイエ・ブログランド(Brogeland)は応えています。
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revival of bridge 「おそれることは無い。これからがブリッジの再興だ」と。