競技としてのブリッジは様々な手続きや規定の類に縛られています。
競技を運営する側は面倒このうえないのですが、参加者は「普通に」
やっていればどうっていうことはありません。
「JCBL HANDBOOK」の後ろから4分3は規則ばかりです。
私は全ての競技会規則の起草と改正に関与してきましたが。
まだまだ足りなかったかも。
「米国ブリッジ連盟 懲戒規定綱領(CDR)」より抜粋
不衛生または不適当な服装
(文書)戒告 およびまたは 30日以内の保護観察処分
ビッドやプレーに関して人前でパートナーや対戦相手の悪口を言う
(文書)戒告 およびまたは 30日以内の保護観察処分
およびまたは 30日以内の(出場)資格停止
他のプレーヤーに対するハラスメントや恫喝
(文書)戒告 およびまたは 120日以内の保護観察処分
およびまたは 90日以内の(出場)資格停止
スコアの間違いを知りながら制限時間内に運営担当者に申告しない
180日間の保護観察処分
およびまたは 180日以内の(出場)資格停止
総マスターポイントから0〜25%を没収
他の人に対する罵倒あるいは暴力的行為
3年間の保護観察 およびまたは 2年以内の(出場)資格停止
スポーツマンシップに反するまたは無分別または頻繁なサイキック
60日間の保護観察 およびまたは 30日以内の(出場)資格停止
対戦相手をだます意図でパートナー間の取り決めを説明しないこと
1年間の保護観察 およびまたは 1年以内の(出場)資格停止
能動的かつ意図的に対戦相手のカードを見ようとすること
1年間の保護観察 およびまたは 1年以内の(出場)資格停止
意図的にハンドレコード(hand record)を事前に入手し、参加してプレー
すること およびまたは そのハンドレコードや複写を参加してプレーする他
の者に事前に譲り渡すこと
除名
マスターボイントの100%没収
以上、39項目の一部です。
☆ 資格停止の処分が下されたときには、ペアまたはチームは失格する。
すなわち当該ペアまたはチームは、当該競技会の順位とマスター
ポイントとその他の得た利得の全てを失う。また、訂正期限が過ぎて
いるときには、当該競技会に於ける失格ペアまたはチームの順位は
空位となり、他のペアまたはチームの順位は繰り上がらない。
♯ 委員会が資格停止の処分を下す際には資格停止の期間に準じた
保護観察の期間を設けることが勧められる。
と最後にあります。
米国ブリッジ連盟 懲戒規定綱領(pdf全60頁から最後の7頁を参照)
リンク →
ACBL Code of Disciplinary Regulations(CDR) VII.証拠(類)
『有罪の評決は委員会の単純多数による。疑いをかけられた側が、
証拠の優位によって身の証を立てなければならない…』
この辺りはまさに米国の伝統芸というか。
「マジョリティーが決めたことが正しい」という文化の上に成り立っている
ように見えます。
VIII.事情聴取に於ける「証拠」については以下のように書かれています。
『ACBLは会員制組織であり、運営機関が独自に規則を定めている。
委員会は法廷ではないので、法廷や法的機関に於ける証拠採用の
法令は委員会には適用されない。関連証拠には伝聞証拠を含むもの
とする。それが、責任者達が重大事案を審議する上で慣行として依拠
せざるを得ないようなものであるなら、それが法廷で証拠として認めら
れる否かは関係が無い。(中略)委員会は伝聞を証拠として認めるもの
の、直接の証言よりも重みを持つものとして取り扱ってはならない。』
米国ブリッジ連盟 懲戒規定綱領 関連ページ
リンク →
ACBL Code of Disciplinary Regulations(CDR) お国柄でしょう。事前に備えることに長けています。
手続きの進め方のフローチャートから、議事進行要領から、提出文書の
フォームまで、何でも揃っています。
参考までに。
世界ブリッジ連合 懲戒規定
リンク →
WBF Disciplinary Code 英国ブリッジ連盟(English Bridge Union(EBU))
懲戒委員会(EBU Disciplinary Panel、現在は14名)が処分や
罰金(最高500ポンド)を決める制度になっています。
EBU細則(全18頁中11頁が懲戒規則です)
リンク →
The Bye-Laws of The English Bridge Union Ltd. JCBLに於いても2011年8月末に懲戒規則が承認されました。
当時に理事だったので手元にありますが、公開はされていないようです。
みながみな知り合いだった30年前なら無言の圧力もかかったのですが。
今となっては。
我々が目指すべきは「人治」ではなく「法治」でして。
「処分を求めるのは感情論だ」と力説されても困ります。
海外の大会に出たりすることで世界のブリッジ事情を知っている人達を
「玄人派」、そうでない人達は「素人派」と仮に呼ぶことにしたら。
いつの間にか議決に於いても「素人派」が多くなってしまったようです。
素人が多くても一向に構わないのですが。
一般のブリッジ愛好者の感覚とズレてしまうのはマズい。
「一般」とは言ってもブリッジ界は平均年齢が六十を超えていますから。
中高年の人達がおかしい、と声を揃えるなら何らかの問題があるかと。
ヨーロッパ各国のブリッジ組織(加盟46ヶ国)は隣国組織の運営の良い
ところを取り入れるなどして改善をはかっています。
日本は周辺諸国にお手本も無く。
どうしてもガラパゴス化してしまいます。
然るべき機関が「…については…国ブリッジ連盟の規定を準用する」など
と決議するだけで足りているのですが。
「私達だったらあっという間に追放よね〜」
と聞いたときには。
ぞっとしました。