この記事は
不正行為(1)、
不正行為(2)、
不正行為(3)の続きです。
シニアチーム世界選手権を優勝したドイツチームの「咳」を使った不正
疑惑と、イタリアのプレミア・リーグ決勝でのディフェンスの不正疑惑。
いずれも米国「ザ・ブリッジワールド」誌の2015年8月号、9月号の
巻頭論説で取り扱われています。
ドイツチームの事案については、
リンク →
WBF公式報告 ちょっとでいいですから見てみてください。
不正行為を糾弾するのがどれだけ大変かが窺い知れます。
虚しい努力の結晶が、表紙を入れて16頁。
多くのページで決定の法的効力が主張されています。
こんな嘆きも漏れ聞こえました。
『ペア競技、団体競技のドーピング検査で1人がひっかかれば、連帯責任
です。(記録なし、メダルはく奪)高校野球などで部員の1人が悪さをすれば、
そのチームは試合出場停止(辞退)ですよね。奇想天外なことが起こっても、
知らなかった、関係ないは通らないのが普通じゃないの?!』
その通りで。
今回は疑惑のペアが「アウト」になったから、ドイツシニアチームは失格。
記録は無し、金メダルは剥奪。
当たり前ですわね。
話かわって、イタリアのプレミア・リーグ決勝の事案。
スラムに対して2エースあるのに、それを取ることをせず、
Aを取って、
をパートナーに切らせた。さらに
Aで入って、再び切らせた。
「何でエースを2枚取ってから、切らせようとしなかったんだ?」
と聞かれて。
「意識喪失(mental blackout)して正しく考えることが出来なかった」
と答えた。
スポーツ仲裁裁判所は、意識喪失は有り得るうえ、ペア間で不当な情報
のやり取りがあったことを裏付ける証拠が無いので、無罪判決を下した。
イタリアの伝説的プレーヤー、1927年生まれのベニート・ガロッツオ (Garozzo)1947年生まれ、ロレンツォ・ラウリア(Lauria)のコメント:
「今後、異常なプレーを正当化するために、何人もが意識喪失を口にする
だろう。今回の判決は極めて危険な判例となった」
ジェフ・ルーベンスの論説は以下のように結びます。
『我々は、不正行為による潜在的被害と、精神的つまづき(または直感)
によって極めて突飛であっても途方も無い幸運に恵まれること(highly
erratic that is remarkably fortunate)、の両方への対策を向上させる
必要がある。』
3年前の春、任期終了寸前の連盟理事会に「リコーダー(recorder)制度案」
が提出されまして。テーブル上で怪しい事や、不可解な事が起きたら、公的
記録を残す制度です。内容がお粗末だったから潰れてしまいました。最初
から競技委員会に任せれば良いものが出来ただろうに。残念でなりません。