3枚で「スーツ」と言えるのかというと、返答に困るのですが。少なくとも
規則上は、マイナースーツのビッドは3枚保証ならナチュラル、メジャー
スーツのビッドは4枚保証ならナチュラルという扱いになっています。
他に適当なビッドが無いとき、3枚マイナーをビッドすることはビッド理論上
は有ります。例えば、
W | E | 1 | 1NT | |
|
このビッドは、古典的には9〜11HCP、
伝統的で8〜10HCP。
現代風は6〜9(10)HCPです。
以下のハンドで、
W | E | 1 | ? | |
|
3枚で「1
」レスポンスをするのは「有り」です。
規則違反でもありません。
しかしながら「メジャースーツ」を3枚でビッドすることは先ず、無い。
ついにそのときが。
2015年4月 サントリー杯 第1セッション 7番ボード
ディーラSouth、双方バル
W | N | E | S | |
| | | P | 1 | P | ? |
|
システムは5枚メジャー、ツーオーバーワン。
1
オープンに対して、2
はインバーテッドレイズでゲームインビテー
ション以上のハンドの強さを保証。3
はプリエンプティブ・レイズ、2NT
は3NTインビテーション、2
はオルモスト(almost)ゲームフォーシング。
いよいよその時が来たかと、「1
」レスポンスしました。
するとパートナーは「1NT」をリビッドするので、「3
」でサインオフ
(Two-way New-minor-forcingの約束)。
全体のハンドは以下の通り。
3
は4メイク。結果的にEWのノートランプは開幕6連敗でジャストメイク。
NS側に強い
フィットがありますが、コントラクトはありません。
このダミーを開いたときの対戦相手が。目を吊り上げてしまって。
怒らせてしまいました。
対戦相手がエキスパートなら「なるほど」くらいのリアクションのはずが、
規則違反は無くても気まずいことこの上なく。
「こういう真似」は三十年に三回くらいしかしないのですが、
たまに試合に出ると「これ」です。
最終スコアのEWプラス130は、このボードの成績がIMPスコアリングで
+30IMP。100テーブル近くの試合ですから。普通のチーム戦なら、
プラス30IMPを100で割ると0.3IMP。全くのアベレージスコアです。
このことを思い出したのは、米国「ザ・ブリッジ・ワールド」誌の最新号
(9月号)のビッド問題。
ペア戦、双方バル
W | N | E | S | |
| 1 | P | ? | | | |
|
ビディングシステムはツー・オーバー・ワン。
インバーテッドレイズ(ゲームインビテーション以上の強さ)、2NTは
3NTインビテーション、2
はオルモスト(almost)ゲームフォーシング。
何をビッドしますか?
決めましたか?
世界チャンピオンや全米チャンピオンなどのパネル回答者は合計27名。
その選択は:
1
9名
2NT 7名
2
6名
2
4名
1NT 1名
でした。
1の代で3枚メジャーをレスポンスする意見が最大多数派、ということは
滅多にないのですが。
ジア(Zia)・マームッドのコメント:
「1
。私のヒーローのヘルジーの真似をして。」
“Helgy”はノルウェーの有名プレイヤー、ヘルゲモ(Helgemo)の愛称です。
バート・ブラムレイ(Bramley)のコメント:
「1
。私がこのビッドをすることを私のファンには見せないで欲しい。」
サントリー杯のハンド、対戦相手が『ファン』だったら「1
」を言わないかも。