「ツーウェイ・ニューマイナーフォーシング(Two-way NMF)」
オープナーの1NTリビッド後に使われるコンベンション。
ニューマイナーフォーシングや2
チェックバックの進化形です。
最初に発表されたのは私の知る限り、米国「ブリッジ・トゥディ」誌の
1990年11-12月号。キット・ウルジー(Kit Woolsey)の記事です。
当時はまだ「ツーウェイ・ニューマイナーフォーシング」という言葉が
無かったので、「チェックバック」という言葉が使われています。
同じ号にマーティ・バーゲン(Marty Bergen)が、
「『2
』のニューマイナーフォーシングに遭遇するとブリッジ
プレーヤーの性(さが)に笑いをおさえられない。どうせなら
チェックバック2
を使わない手はない」
というような内容の記事を書いています。
ウールジーはさらに先を行っていたということになります。彼自身は
コンベンションの着想をジム・クレコリアン(Jim Krekorian)から得た
と書いています。
2013年の春季北米選手権の大会ブリテン
(リンク →
Spring NABC,St.Lous(Mar.15,2013))
によりますと、「デービッド・カーター(David Carter)は、ダブル・バールド
(double-barreled)ステイマン、通称ツーウェイ(two-way)・ステイマン、
(すなわち2
がノンフォーシングステイマン、2
がゲームフォーシング
ステイマン)の発案者であり、これを考え出した6年後に、オープナーの
1NTリビッドに同じ仕組みを使うこと(two-way new-minor forcing)を
考えついた」とあります。
デービッド・カーターは1954年度のACBLマスターポイント獲得第一位の
プレーヤーですが、このツーウェイ・ニューマイナーフォーシングに関する
記述がどの程度信頼に足るかはわかりません。
ACBL発行ブリッジ百科事典(Official Encyclopedia of Bridge)には
“Two Way New Minor Forcing”の項目は無く。
“TWO-WAY CHECK-BACK”の項目に、“PING-PONG”の項目を
参照せよとだけ。「オープナーの1NTリビッドの後、レスポンダーの2
のビッドが2
への強制トランスファーで、ゲームインビテーションの
ハンドを表すのに使われる。フランスでは一般的なコンベンション」
というような解説があります。
誰がいつ頃に発案したかについては何にも書いてありません。
いずれにしても米国内では「チェックバック2
」は市民権を得ることなく、
「ツーウェイ・ニューマイナーフォーシング」の時代に入ったようです。
2010年 米国スピンゴールド杯 決勝
ディーラーW、双方バル
W : Fred Gitelman
E : Brad Moss
2
= ゲームフォーシング
3
= 5枚
3
= 6枚分の
のストッパーに問題があるので、5-2の4
にコントラクトしました。
頭から10トリックあります。ストッパーの薄い3NTよりも、強い切り札
の5-2のメジャーゲームを狙うのはこの15年ほどの流行でもあります。
米国「ブリッジワールド」誌 2011年5月号 誌上ビッド対戦
W : Billy Cohen
E : Ron Smith
2
= 2
へのパペット
Pass =
のサインオフ
解説の エリック・コキッシュ と ビバリー・クラフト によりますと、この
取り決め(Two-way New Minor Forcing)は、「ブリッジワールド
スタンダード」で決まっているコンベンション(New Minor Forcing)
よりも、今や主流となっているようです。
(We suspect that this method,which is simpler than
the BWS approach,has gained mainstream status.)
ACBL会報 2015年1月号 誌上ビッド対戦
W : Dick Bruno
E : Bob Gardner
1
= 4-4マイナーを1
オープンする約束
2
= 2
へのパペット
3
=強い6枚
でのゲームインビテーション
W : Jeff Schuett
E : Ginny Schuett
1
= 4-4マイナーを1
オープンする約束
2
= 2
へのパペット
3
=強い6枚
でのゲームインビテーション
そもそも何故 Two-way NMF を採用するかと言いますと。
例えば、
W | N | E | S | |
1 | P | 1 | P | 1NT | P | ? |
|
何ということのないビッドシークエンスですが、良いコンベンションが
なかなか無くて。特に、
のようなハンドを表現することが難しいです。
ペア戦なら3NTでも良いのですが、チーム戦ではそうも行きません。
オープナーがミニマムでも6
が出来てしまいます。
ペア戦もいちにちで終わるような試合なら、あっさり3NTをビッドして
お終いにしても良いのかもしれません。
米国のブルーリボン杯のように予選準決勝決勝で三日間を費やす
大会になると。怠惰なことをしていると予選落ちしてしまいます。
世界選手権ペア戦だと予選二日、準決勝二日、決勝二日半です。
(最近はもう少し短くなったようですが)。
10数年ほど前の世界選手権ペア戦で、予選ももう終わりの頃。
対戦相手に世界的に有名なペアが来まして。二人とも凄い形相で
ブリッジをしている。危ないんだなと思ったら、やはり落ちていました。
順当なら決勝で20位以内には入るペアだけに、無念はいかばかりかと。
そう言えばいつぞやの世界選手権のミックスド・ペア(男女混合ペア)で、
私のパートナーが無謀なビッドをして。対戦相手の男性プレーヤーが
オープニングリードをしくじった。カナダの有名なプレーヤーなのですが、
野獣タイプで。これが怒って暴れ始めまして。。。
よく考えると私のパートナー達は、対戦相手を mad にするというか、
drive them crazy にさせるような人が多かったかもしれません。
またしても長い前置きで。
「ブリッジ・トゥディ」誌の1990年11-12月号で紹介された
ツーウェイ・ニューマイナーフォーシングのオリジナルバージョン
については、
リンク →
Two-way NMF オリジナルバージョン を見てください。
私自身、また教室では2000年頃から以下のバージョンを使用しています。
リンク →
Two-way NMF 清水教室仕様(1) ハンド例は、
リンク →
Two-way NMF 清水教室仕様(2) にまとめてあります。
ツーウェイ・ニューマイナーフォーシングの現代版は、
リンク →
Two-way NMF を見てください。
このコンベンションの長所短所については、
リンク →
Two-way NMF(3) に説明してあります。