この記事は「フォーシングノートランプ後の展開」の続きです。
![](s.png)
1M = 1
![H](h17.png)
または1
![S](s17.png)
1NT = フォーシング・ノートランプ
2m = 2
![C](c17.png)
または2
![D](d17.png)
2NT = 3NTインビテーション
この経過でのビッドについては「フォーシングノートランプ後の展開」で
検討しました。たいていのハンドは表すことが出来ます。
ところが困るのはオープナーが5-5で良いハンドのときです。
以下のコンベンションは米国ブリッジ連盟会報2010年11月号に
於いてビリー・ミラー(Billy Miller)が紹介していたもので、
“The Ultra-Sleek Gadget”と名付けられています。
「超円滑からくり」とでも訳すのでしょうか。“ウルトラ・スリーク”という
言葉は米国では商品広告とかに使われるようで。“ガジェット”は日本
でも最近よく聞きます。
ビリー・ミラーは、著作物やブリッジスタイルが私の好きなブリッジプロ
のひとり。ひと頃は米国内大会や国際大会で活躍していたのですが、
最近は仕事に忙しいご様子。ちょっと残念。
このコンベンションも簡単でお役立ち。使う価値はあると思います。
![](s.png)
パス = 降りた
3NT = 乗った
3m = 5-5でミニマム、ゲームの誘いを断っています
3M = 6枚でゲームフォーシング
3の代の反対側の「メジャー」
= 5-5、ゲームフォーシング(5枚Mと5枚m)
3の代の反対側の「マイナー」
= 5431のハンドの形、ゲームフォーシング
レスポンダーは次のステップをビッドしてハンドの形を
アスキングします(残りスーツは2つ)
ワンステップ = LO(低い)シングルトン
ツーステップ = HI(高い)シングルトン
シングルトンを紹介することで5431のハンドの形を表し、
5440もこれに含まれます
ごちゃごちゃしているようで実際のビッドをみれば何ということなく。
![](s.png)
W | E | 1![](s19.png) | 1NT | 2![](c19.png) | 2NT | ? |
|
3
![C](c17.png)
= 5-5、ミニマム(5-5で11点とか)
3
![S](s17.png)
= 6-4、ゲームフォーシング
3
![H](h17.png)
* = 5-5、ゲームフォーシング
3
![D](d17.png)
* = 5431(5440)、ゲームフォーシング
以下のように展開します。
![](s.png)
3
![D](d17.png)
= 何らかの5431または5440
3
![H](h17.png)
= シングルトン・アスキング
3
![S](s17.png)
=
![D](d17.png)
(LO)シングルトン、5=3=1=4(5=4=0=4)
3NT =
![H](h17.png)
(HI)シングルトン、5=1=3=4(5=0=4=4)
もうひとつ例を。
![](s.png)
W | E | 1![](h19.png) | 1NT | 2![](d19.png) | 2NT | ? |
|
3
![D](d17.png)
= 5-5、弱い
3
![H](h17.png)
= 6-4、ゲームフォーシング
3
![S](s17.png)
* = 5-5、ゲームフォーシング
3
![C](c17.png)
* = 5431(5440)、ゲームフォーシング
展開させます。
![](s.png)
3
![C](c17.png)
= 5431または5440
3
![D](d17.png)
= シングルトン・アスキング
3
![H](h17.png)
=
![C](c17.png)
(LO)シングルトン、3=5=4=1(4=5=4=0)
3
![S](s17.png)
=
![S](s17.png)
(HI)シングルトン、1=5=4=3(0=5=4=4)
では使ってみます。
2007年7月 日本リーグ 第5ラウンド 8番ボード
ディーラーWest ノンバル
![](s.png)
![](s.png)
3
![H](h17.png)
= 5-5、ゲームフォーシング
レスポンダーは「2NT」をビッドするのも抵抗がありますが、
この辺りがフォーシング・ノートランプの辛いところです。
Northのハンドは:
![S](s17.png)
J1072
![H](h17.png)
K
![D](d17.png)
8732
![C](c17.png)
8653。
![C](c17.png)
コントラクトは
![H](h17.png)
か
![D](d17.png)
リードで10トリック、3NTは9トリック。
2009年 渡辺杯 第3ラウンド 31番ボード
ディーラーSouth NSバル
![](s.png)
![](s.png)
1NT = セミ(semi)フォーシング
3
![S](s17.png)
= 5-5、フォーシング
4
![D](d17.png)
= ノートランプに自信が無い
4
![H](h17.png)
=
![H](h17.png)
が2枚あったらパスしても良い
Northのハンドは:
![S](s17.png)
10643
![H](h17.png)
10983
![D](d17.png)
1042
![C](c17.png)
A4。
実際の試合では、スラムまでビッドしてしまったのが4ペア、
5
![D](d17.png)
が8ペア、3NTが8ペア、4
![H](h17.png)
が4ペア。4NTダウンと5NT
ダウンが各1ペアでした。
2004年4月 マッチポイント・ペア戦 25番ボード
![](s.png)
![](s.png)
![](s.png)
N | S | 1![](s19.png) | 1NT | 2![](c19.png) | 2NT | 3NT | P | |
|
![](s.png)
レスポンダーの「2NT」は辛いところ。
オープナーは、ミニマムともマキシマムともつかない5-5。「10」が
多いのは有利。
![D](d17.png)
Qダブルトンは、
![S](s17.png)
か
![C](c17.png)
よりもノートランプ向き。
チーム戦もペア戦も「3NT」でどうでしょうか。
Westのハンドは:
![S](s17.png)
K9762
![H](h17.png)
3
![D](d17.png)
A9743
![C](c17.png)
AJ。
ディフェンス側も辛いものあって4メイクです。
2014年 米国バンダービルト杯 決勝3/4セグメント 39番ボード
![](s.png)
![](s.png)
![](s.png)
N:Rodwell
S:Meckstroth
![](s.png)
反対テーブルでは「ヘルゲモ&ヘルネス」のペアが同じビッド経過で
進み、ヘルネスが3
![D](d17.png)
をパスして4メイク。
ロッドウェルはいつもの積極果敢さで3
![S](s17.png)
をビッドして3=5=4=1の形を
表し、メックウェル(Meckwell)ペアの「毎度怪しい3NT」に突入します。
ここでWestが:
![S](s17.png)
K985
![H](h17.png)
54
![D](d17.png)
73
![C](c17.png)
KQ965
からスモール
![C](c17.png)
をリードしたら、あっという間の3メイク。
なのですが。
ヌーン(Nune)は正しく「
![C](c17.png)
絵札」をリード。
![D](d17.png)
フィネスがEastのファントーニ(Fantoni)に入り、
![C](c17.png)
リターンでお陀仏。
仮にディクレアラーが
![C](c17.png)
をダックしたら、Eastは
![S](s17.png)
に切り替わって同じく
ワンダウン。
さすがWBFマスターポイント1位2位のペアだけあります。
![C](c17.png)
絵札のリードは、「
![C](c17.png)
9」があることと「
![S](s17.png)
K」がエントリーになることを
見込んでのことでしょうが。
ノートランプに対して「絵札2枚のシークエンス」からはフォース(fourth)
ベストよりも、絵札のリードの方が成功率が高いことが近来の研究で
明らかになっています。
このようなことは記事
オープニングリードシミュレーションにも少し書き
ましたが、だんだん常識化しているのかもしれません。
話を戻して。
「フォーシングノートランプ後の展開」にも書きましたコンベンションの話。
以下のビッド経過。
![](s.png)
W | E | 1![](s19.png) | 1NT | 2![](h19.png) | 2NT | ? |
|
1NT = フォーシング
2NT = インビテーション
ここで「3
![C](c17.png)
」を3
![D](d17.png)
への強制トランスファーに使う話。
先のコンベンションとの整合性を持たせる為に、
すぐの「3
![H](h17.png)
」は5-5のゲームフォーシング、
すぐの「3
![S](s17.png)
」は6-4のゲームフォーシング。
「3
![C](c17.png)
」で「3
![D](d17.png)
」を言わせてから、
「3
![H](h17.png)
」は5-5のノンフォーシング、
「3
![S](s17.png)
」は6-4のノンフォーシング。
このようにした方が間違いが無くなると思われます。