フィットジャンプ。
正式にはフィットショーイング・ジャンプ(fit-showing jump)。
パートナースーツと、自分がビッドしたスーツの、両方に長さを表す
ビッドです。
典型的にはパスト(passed)ハンドのシングル・ジャンプシフト。

W | N | E | S | |
| | P | P | P | 1 | P | 2 | | | |
|

良い5枚

と

のサポート、
ゲームインビテーションの強さ(10〜12点の価値)。

の枚数は4枚で構いません。仮にオープナーが3枚

でのオープン
のときには

が3〜4枚あるはずです。
このビッドは50年以上も前からの「普通」と言いますか「当たり前」と
言いますか、「スタンダード」です。

W | N | E | S | |
| | P | P | P | 1 | P | 3 | | | |
|

4枚

サポートと、良い5枚

。ゲームインビテーションの強さ。
5枚

サポートと、良い4枚

でも構いません。
ところで。

W | N | E | S | |
| | | 1 | P | 2 | |
|
このビッドを「ウィーク(weak)ジャンプシフト」の約束にしている人も
いるかと思います。それはそれで結構なのですが、次は?

W | N | E | S | |
P | P | P | 1 | P | 2 | |
|
「パス!→パス→パス!→1

: パス!」と、ここまで対戦相手が
パスし続けているときにWeakジャンプを使うのはおかしいだろうと。
パートナーをプリエンプトしてどうするの?
ということで仮に「ウィーク(weak)ジャンプシフト」の約束をしていても、
パスト(passed)ハンドは「フィットジャンプ」に切り替わります。
パスト(passed)ハンドでのメジャーレイズにドゥルーリーフィット
(Drury fit)を使っていますか?

W | N | E | S | |
| | P | P | P | 1 | P | 2 | | | |
|
サードハンドとフォース(fourth)ハンドの1の代のメジャーオープンに
対して、「2

」のレスポンスは3枚以上のサポートとゲームインビテー
ションの強さを表します。
では本来は「2

」をビッドするはずだった、長い

でゲームインビテー
ションの強さのあるハンドはどうするかと言いますと。

W | N | E | S | |
| | P | P | P | 1 | P | 3 | | | |
|

「2

」に追い出されて「3

」に移動します。
そこで、

のフィットジャンプは何処に行くかと言うと?
「2NT」に移動します。

W | N | E | S | |
| | P | P | P | 1 | P | 2NT | | | |
|

この2NTは「アラート」して下さい。
説明を求められたら「4枚以上のサポート、良い

スーツ、ゲーム
インビテーションの強さです」と。
ドゥルーリーフィットをお使いなら、「フォーシングノートランプ」の約束も
あると思います。

W | N | E | S | |
| | P | P | P | 1 | P | 1NT | | | |
|
この1NTも「アラート」して下さい。
説明を求められたら「6〜11点、3枚以上の

サポートを否定します。
セミ(semi)フォーシングで、オープナーはミニマムのバランスハンドなら
パスする可能性があります」と。
対戦相手が上級者なら「セミ(semi)フォーシングです」とだけ言えば
通じると思います。
パスト(passed)ハンドのメジャーレイズは以下の通り。

W | E | | P | 1 | ? | |
|
2

= 6〜9点
3

* = ミックスド・レイズ
4

= 6〜9点、5-5や6-4などのシェイプ
2

* = ドゥルーリーフィット
3

* =

スーツ、ゲームインビテーション
2NT* =

フィットジャンプ
3

=

フィットジャンプ
3

=

フィットジャンプ
ミックスド・レイズについては記事
ミックスド・レイズを参照してください。
ということで。パスト(passed)ハンドのフィットジャンプは、
Pass−1

: 2

Pass−1

: 2

Pass−1

: 2

Pass−1

: 2

Pass−1

: 2

Pass−1

: 3

Pass−1

: 2

Pass−1

: 2NT(

FJ)
Pass−1

: 3

Pass−1

: 2NT(

FJ)
Pass−1

: 3

Pass−1

: 3

以上の12通りです。
オーバーコールのレスポンスでのフィットジャンプ。
パートナーのオーバーコールに対して、シングル・ジャンプシフトの
レスポンスをするとフィットジャンプになります。
例えば。


4枚以上のサポート、良い5枚以上のスーツ、ゲームインビテーション
以上の強さ。このビッド経過では、3

まではフォーシングです。
オーバーコールのレスポンスでのフィットジャンプは、
(1

) 1

(P) 2

(1

) 1

(P) 2

(1

) 1

(P) 2

(1

) 1

(P) 3

(1

) 1

(P) 3

(1

) 1

(P) 3

(1

) 1

(P) 2

(1

) 1

(P) 3

(1

) 1

(P) 3

(1

) 1

(P) 3

(1

) 2

(P) 3

(1

) 2

(P) 3

(1

) 1

(P) 3

(1

) 1

(P) 3

(1

) 2

(P) 3

(1

) 2

(P) 3

(1

) 2

(P) 3

(1

) 2

(P) 4

*
(1

) 2

(P) 3

(1

) 2

(P) 3

(1

) 2

(P) 3

(1

) 2

(P) 3

(1

) 2

(P) 4

*
(1

) 2

(P) 4

*
以上の24通りあります。
但し。
「*」の印がついた「4の代へのシングル・ジャンプシフト」はスプリンター
にする方が簡便です。実際、スプリンターにしているペアが多いのでは
ないかと思われます。
パートナーの1の代のオープンに対してテークアウトダブルが入った
ときのレスポンスでのフィットジャンプ。

W | N | E | S | |
1 | DBL | 3 |
|

このように、メジャーオープンにダブルが入ったときには、
「シングル・ジャンプシフト」はフィットジャンプ、
「ダブル・ジャンプシフト」はスプリンターレイズ
にするのが今ふうかと。

W | N | E | S | |
1 | DBL | ? |
|
2

* =

フィットジャンプ
2NT* = トラスコット、強さ上限無し
3

* =

フィットジャンプ
3

* =

フィットジャンプ
3

= weak
3

* = スプリンター
3NT* = 良い4

レイズ
4

* = スプリンター
4

* = スプリンター
4

= weak
マイナーオープンの場合には?

W | N | E | S | |
1 | DBL | 2 |
|
マイナーオープンにダブルが入ったときには、ウィーク(weak)ジャンプ
シフトを使うのが簡便でしょう。
「フィット・ノンジャンプ(Fit-showing Non-jump)」について。
米国ブリッジ連盟発行ブリッジ百科事典(Encyclopedia)には
以下の例が載っています。

「3

」は4枚

と良い5枚

、インビテーションの強さを表します。
1

オープンに

でオーバーコールせずにパスをしたハンドが、
パートナースーツのサポートも無く、いきなり3の代で

スーツを
紹介するはずが無いということです。
2014年 日本リーグ 第9ラウンド 28番ボード
ディーラーWest NSバル


3

のビッドがフィット・ノンジャンプです。
NS側のハンドは以下の通り。
N:

A8632

K

AK10984

9
S:

J1097

95

J63

J1052
結果的にNS側の4

は1ダウン、EW側の

コントラクトは10トリック
止まり。EW側としては5

にならないことが肝心です。
フィットジャンプ(2)に続きます。