スコア計算  ダウンしたとき2015年03月
 清水のブリッジブログ

     コントラクトがダウンしたとき。
        ノンバルは 50、100、150…、
        バルは 100、200、300…。
     このブログを読んでいる方々には今さらですが。

     「ダブル付きのコントラクト」がダウンしたときには。

1ダウン2ダウン3ダウン4ダウン5ダウン以上
ノンバル100300500800300ずつ増
バル2005008001100300ずつ増

     ノンバルは、百、三百、五百、八百…300増し。
     バルは、二百、五百、八百…300増し。
     これも今さらなのですが。

     1987年に規則が改正されるまでは、ノンバルのダブル付きダウンは、
     「100、300、500、700、900…」でした。
     これが「100、300、500、800、1100…」に改正された理由は、
     ノンバルのダブル付きダウンが「安過ぎた」ということです。
     それはそれとして。
     規則が大幅に変わると、現場で事件が起きるのは避けられません。



     1990年。スイス、ジュネーブ。
     世界選手権 「ローゼンブルム杯」には179チームの参加が。
     準決勝(ベスト4)は14ボード×4セグメントの56ボード。
     ドイツ・ルードヴィッヒ(Ludewig)チーム 対 カナダ・スタイン(Stein)チーム
     の最終結果は 154対151 IMPでドイツチームの勝ち。
     3 IMP差で負けたカナダチームの誰もが眠れぬ夜。
     ひとりが気づきます。

     41番ボード
     ディーラーWest、NSバル
W
ディーラー
8
J107542
J43
873
N
AQ7643
8
KQ852
5
E
52
K96
109
AJ10964
S
KJ109
AQ3
A76
KQ2

WNES
23P4NT
P5P6
AllPass
   W:Kokish(カナダ)
   N:Bitschene(ドイツ)
   E:Mittelman(加)
   S:Ludewig(独)

       2S = Unspecified Weak、CDHSの「弱い」プリエンプティブ

WNES
22DBLReDBL
3344NT
5DBLAllPass
   W:Rohowski(独)
   N:Kirr(加)
   E:Nippgen(独)
   S:Hobart(加)

       2D = MULTI、SHのWeak-Two

     6Sは程なく6メイクでドイツチームのプラス1430点。
     反対テーブルの5CxはSKリードをNorthがエースでオーバーテーク。
     Hにシフトして、ディフェンスはHを出し続け、Northがラフ。この後、
     Dが3巡続きます。ディクレアラーはDを切り、Sラフでダミーに入り、
     Cを引きます。NorthはCが無くなっているのでショーアウト。Southが
     トランプであと2トリックを取ることを宣言してプレー終了。ディフェンスが
     8トリック、ディクレアラーは5トリックを取るのでシックスダウン。
     ところが。
     プレーが遅れていたので、担当ディレクターのマーリー・ブラウンスタイン
     が進行をせかしていました。テーブルの誰かが「1100点」と言い、全員
     がプライベートスコアに「ディクレアラーが6トリック」と書き入れます。
     公式記録担当者も「5Cx by E、6トリック、NS+1100」と記入。
     このボードはドイツチームの330点取りで、プラス8 IMPになります。

     ノンバルのダブル付きシックスダウンは、旧スコアだと1100点。
     ところがときは1990年。新スコアだと1400点です。
     となると、このボードでドイツチームはプラス1 IMP。
     公式記録は 154対151 IMPでドイツチームの勝ちですから、
     ドイツチームは7 IMP減って、147 IMPに。勝敗が逆転します。

     このことにカナダチームの一員が真夜中に気づき。午前5時にチーム
     キャプテンに連絡。午前8時に対戦相手のドイツチームを呼び出して、
     実際に5トリックしか取っていないことを事実確認。主任ディレクターの
     ビル・ショーダーに報告。ディレクターは5分間ほど検討ののち、スコア
     の訂正は認められないとの意見を伝え、上告を促します。
     大会試合要項には「明らかに間違っている(manifestly incorrect)」
     スコアはディレクターまたは上告委員会の指示により訂正可能。また、
     訂正期限は「次のノックアウト試合が開始されるまで」となっていました。
     果たして。

     9時半に召集された上告委員会は以下の5名。アウケン(デンマーク)、
     ダミアニ(フランス)、ドルシー(ブラジル)、カプラン(米国)、エンディコット
     (英国)。世界ブリッジ連合の大物理事と、規則関連の大御所達です。
     30分後に出された結論は、「訂正不可」。
     その理由は、「5Cx、6トリック、NS+1100」の公式記録は「明らかに
     間違っている(manifestly incorrect)」スコアでは無い。

     憤慨したカナダ・スタイン(Stein)チームは3位決定戦の参加を拒否。
     対戦相手の米国・ラピー(Rapee)チームもこれに同調。公式記録は
     3-4位同着に。当時は銅メダルというものが無かったので、盛り上がら
     ない3位決定戦よりも、北米人はスイス観光を選んだとも思えます。
     ドイツチームは決勝戦の参加を見合わすべきだ、との意見もあった模様。
     しかしながら英語を母国語とする人の間でも “manifestly incorrect”
     の解釈に異論があるところを、ドイツ人にわかるはずもなく。大会運営者
     の決定に従うしかないというのが公平な見方で。翌日の大会会報には
     上告委員会の見解と、ドイツチームキャプテンの釈明が掲載されました。
     決勝は64ボード。
     ドイツ・ルードヴィッヒ(Ludewig)チームは米国・モス(Moss)チーム を
     145対132 IMPで破って優勝。

     本件に関して「世界選手権報告(World Championship Book)1990」
     の記述の一部は事実関係が正確ではないようです。また、執筆担当者が
     規則解釈について独自の見解を披露する記述も散見されます。
     バーネット・シェンキンのウェブサイトには、当事者達に直に確認した正確
     な記事が出ています。

     なお現在の世界選手権の試合要項では、スコアの訂正は「当日」、「試合
     結果掲示後30分以内」。例外は上告などの審査を待つときと、プレーを
     要求されたボードの終了を待つときだけとなっています。

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