「マキシマル オーバーコール・ダブル」 は。
「『マキシマル(MAXIMAL)』 オーバーコール・ダブル」であって、
「『マキシマム(MAXIMUM)』 オーバーコール・ダブル」ではありません。
また、
「 『マキシマル オーバーコール』 ・ダブル」 であって。
「マキシマル・ 『オーバーコール ダブル』 」 ではありません。
では『マキシマル オーバーコール』とは?

W | N | E | S | |
1 | 2 | |
|
とか、

W | N | E | S | |
1 | 2 | |
|
とか、

など。
「対戦相手がビッドしたスーツの次のレベルまでのビディングスペースを奪う
ビッド」です。すなわち「真下のスーツ」のオーバーコールであると。従って、

W | N | E | S | |
1 | 1 | |
|
この1

オーバーコールは、

の次のレベルの2

ビッドまでの間に「1NT」が
あるので、マキシマルオーバーコールにはなりません。
「マキシマルオーバーコールに対するダブル、またはマキシマルオーバーコール
のレイズに対するダブルをゲームインビテーションの意味に使う取り決め」を
マキシマルオーバーコール・ダブル と言います。
典型的には、

これは4

インビテーションのダブルです。
また次も、

4

インビテーションのダブルです。
次の経過では、

3

= ゲームインビテーション(HELPスーツ)
3

= ゲームインビテーション(HELPスーツ)
3

= 競り合い(コンペティション)
ダブル =

に対するペナルティ
のようになります。「3

」と「3

」がインビテーションなので、
ダブルまでゲームインビテーションにすることはないでしょう。
マキシマルオーバーコールのレイズで無いときには、

3

= 競り合い
3

= 4

への誘い
ダブル =

に対するペナルティ
この「3

」は、3

と3

の「隙間(すきま)」のビッドです。
ゲームインビテーションで、

スーツには関係なく、ハンドの形も不定。
JCBLの規則では「アラート不要」です。
このオークション経過を取るハンドがありました。
米国「ブリッジワールド」誌2010年10月号から。


ディーラー West
ノンバル
West:Ralph Katz
East:George Jacobs
ジョージ・ジェイコブスと ラルフ・カッツは2000年〜2010年にかけて全米
選手権を12回優勝、世界選手権では準優勝と3位を取っているペアです。
ビッドは上記のような経過を取りました。レスポンダーの2

のビッドは、

Qの価値が下がるのでゲームインビテーションの強さは認められないと
いうことです。
また、このペアの取り決めによると、

この「ダブル」はバランスまたはセミバランスハンド、すなわち絵札量に
余裕のあるハンドでのゲームインビテーション(「ゲームトライ・ダブル」)。

隙間の「3

」のビッドは

には関係の無い、アンバランスハンドでの
ゲームインビテーションです。
上のハンドではレスポンダーが3

ののちに「4

」と展開させれば、
6

が見つかる可能性があるのですが。

が「Kxx」で

が「KQxxx」の
ようなハンドでなければ、なかなか

をビッドするものではありません。
サポートダブルとの関連に於いては以下のようなオークション経過が
問題になります。

オープナーのダブルは3枚

サポートを表します。
レスポンダーのダブルは、

のような5枚

を保証する4

ゲームインビテーション、
すなわちマキシマルオーバーコール・ダブルなのか?

5枚

は保証しないで、ハンドの強さを表す、
カードショーイング・ダブルなのか。
パートナーとの取り決め次第です。
前者(マキシマルオーバーコール・ダブル)はレスポンダーに5枚

が
あれば抜群ですが、現実には

が4枚のこともあります。従って後者
(カードショーイング・ダブル)に取り決めするのでは無いかと思われます。
2012年 横浜インビテーショナル ディーラー North、EWバル

実際のオークション経過

3

= キュービッド、
4

インビテーション
DBL = 4

インビテーション
ReDBL = 4

インビテーション
ひとつのディールにアンバランスハンドが多いとこのようになりやすいです。
Eastは3

に「ダブル」しかゲームインビテーションの方法がありません。
またSouthも、「リダブル」しかゲームインビテーションの方法がありません。
Southが最初にマイケルズCUEをすれば、Northは4

に直行です。
2011年 高松宮妃杯 ディーラー West、EWバル

標準的には以下のように進むのでしょうか。

Northが2

とレイズしたときには、

Southは4

とじかにビッドするのでしょうが。

ボイドでのマキシマルオーバーコール・ダブルもあり得るかも。
ところで。
「マキシマ『ム』オーバーコール・ダブル」。
これは正式な名称ではなく。
べたな名付けで。
「『マキシマム』のオーバーコールの強さ」を表すダブルです。
2011年 日本リーグ ディーラー South、NSバル


W | N | E | S | |
| | | P | P | 1 | 1 | 2 | P | P | DBL | ReDBL | 3 | P | P | 3 | P | P | P |
|
1

オーバーコールののちの「ダブル」が、ハンドの強さを表してます。
このディール、今ふうには。

のように進むことも多いのではないかと思われます。
「2NT」は4枚サポートの良いハンドを表し、「3

」はヘルプスーツ。
結果的に4

がメイクしますが、必ずしもビッドするハンドではなさそうです。
最後に。
ACBL(米国ブリッジ連盟)発行「エンサイクロペディア」には「マキシマル
(MAXIMAL)・ダブル」の項目はありますが、「マキシマルオーバーコール
(MAXIMAL OVERCALL・ダブル」の項目はありません。
またそこでは「マキシマム・スーツ(maximum suit) = 「真下」のスーツ」
のオーバーコールと説明されています。
誰が執筆したかはわかりませんが、色々と新語が生み出されているようです。
WBF(世界ブリッジ連合)の指定注釈では以下のように定義されています。

味方も対戦相手もがフィットしている場合は、
「マキシマルオーバーコール・ダブル
(MAXIMAL OVERCALL DOUBLE)」。
略語は「MAX」。

味方だけがフィットしている場合は、
「マキシマルオーバーコール・ダブル・エクステンディッド
(MAXIMAL OVERCALL DOUBLE EXTENDED)」。
略語は「MAX-EXT」です。