2005年の韓国、ソウルでのパシフィックアジアブリッジ連合選手権大会。
台湾チームと対戦したとき。
パトリック・ファンのペアが、ゲーム点があることが明白なのに、
ストッパーが無いとの理由で4

で止まって。
ジャストメイクだったことがあり。
反対テーブルは5

までビッドしていてワンダウンで。
スコアは数IMPの得失点に過ぎないのですが。
パートナーシップの練度に舌を巻くというか、驚くというか。
パトリック・ファンはパートナーの4

のビッドを迷うことなくパスして
いました。さすがです。
昔のことになりますが、台湾チームは2年連続で世界選手権に準優勝
したことがありまして。
1969年はイタリア(Blue Team)に負け、
1970年は米国(Aces)に優勝を阻まれました。
ファン(Huang)さんは当時から世界的に有名なプレーヤーです。
台湾のブリッジについては、10年ほど前の米国「ブリッジトゥデイ」誌に
記事がありました。
地味だけど。
相撲でいえば、相手力士をじわじわと土俵際に追い込むような感じ。
派手派手しいことをする対戦相手よりも、こういう敵の方が怖いんです。
というわけで今回の「お題」は「4の代のマイナーで止まる」。
先ずは昨年(2013)の世界選手権決勝(イタリア対モナコ)から。


W | N | E | S | |
| | P | 1 | P | 1NT | P | 2 | P | 2 | P | 2NT | P | 3 | P | 3 | DBL | 3NT | P | P | P | | |
|
1

はアンバランス14HCP以上、

スーツ。
1NTは「0〜9」HCP、メジャースーツ無し。
2

は

スーツか、18HCP以上。
2

は6HCP以上を表すリレービッド。
2NTは18HCP以上で

スーツを表す。
3

はレイズ。3

はストッパー。DBLは

。
Eastは、「

AKJ83

8643

J

1095」から

をリード。
EWバル、NSノンバルでワンダウン。
反対テーブルでは。


W | N | E | S | |
| | P | 2 | P | 2 | DBL | Pass | P | 3 | P | 4 | All | Pass | |
|
2

は18〜19バランス。
2

は2NTへの強制トランスファー。
DBLは

。
Passは

ストッパー無し。
3

は choice of contract CUE。
この2

オープンはボッチ&マダーラのペアのお得意で。
同じイタリアのベルサーチ&ローリアのペアは2

オープンをこれに。
4

はジャストメイク。得失点は5 IMP。
両テーブルともコンベンションが普通ではないですが。次は。
2011年の米国スピンゴールド杯決勝から。


W | N | E | S | |
| | | 1NT | P | 3 | DBL | 3 | P | 3 | P | 3NT | P | 4 | All | Pass | | | |
|
1NTは12〜14。
3

はパペットステイマン。
DBLは

スーツ。
3

は5枚メジャー無し、

ストッパー無し。
3

は3枚

。
3NTはパーシャルストッパー。
Eastのハンドは、「

QJ742

85

−−

AJ10765」。
ノンバルで4

は1ダウン(50)。
ここでの、1NTオープン後に5枚メジャーを尋ねるコンベンションに
ついては記事
4333でステイマン? を御参照ください。
反対テーブルの経過は、

N:Moss
S:Gitelman
2

はインビテーション以上。
3

はミニマムで形が良い。
となって2ダウン。
得失点はわずか2 IMPですが。
12〜14の1NTオープンに対して、15点もあって4

で止まるんだ。
WBFマスターポイントランキング1位と2位のペアは。
「4の代のマイナー」で止まってはいけないハンドもあるわけでして。
2014年 佐分利杯
ディーラ:W、NSバル


2

はゲームフォーシング。
2

は5枚以上で強さ上限なし。
3

はストッパーショーイング。
3

は stopper grope。
Southのハンドは、「

A1086

1086

J1054

93」。

4連敗、

4連勝でジャストメイクです。
「ブリッジワールド」誌2011年7月号から
ディーラ:S、ノンバル

エリック・コキッシュのお勧めビッドです。

2

はゲームフォーシング。
3

は partial stopper。
レスポンダーの

が「10xx」なら良いのですが。
4

で止まることは出来ないようです。
5

が全く出来ないわけでも無いのですが。
2013年6月 日本リーグ
ディーラ:S、EWバル


W | E | P | 1 | 2 | 3NT | |
|
3NTは15〜17。
Westがオープンしないと簡単。

1

で出た。
2

は fourth-suit。
2

は致し方なし。
3

は fifth-suit。

Northのハンドは、「

543

K98543

3

KQ2」。
オーバーコールが入るとすんなり3NTに落ち着きます。
「ブリッジワールド」誌2013年4月号から
ディーラ:W、NSバル
Northが2

オーバーコールします。


2

は2

までのフォーシング。
3

はノンフォーシング。
3

はストッパーショーイング。
コキッシュの解説には、“forcing to game”ではなく
“forcing to at least three notrump”にする利点が挙げられています。
同じような指摘は「ゲームフォーシングは5の代までのフォーシングではない」
という表現でよく見かけます。
2014年 筑波
ディーラ:S、EWバル


2

は5枚以上、catchall。
3

は partial stopper。
要するにレスポンダーのハンドが
ゲームフォーシングするほど
強くはないわけでして。


オルモスト(Two-over-one almost game-forcing)。
3

は fit-showing-jumpです。
2012年 サントリー杯
ディーラ:W、EWバル


2

はインバーテッドレイズ。
2

と3

はストッパーショーイング。
3

は notrump probeです。
Southのハンドは、

AKQ93

72

1065

632。

のフィネスが効くので今回はジャストメイクです。
「ブリッジワールド」誌2013年4月号から
ディーラ:S、双方バル

エリック・コキッシュのお勧めビッドは以下の通り。

3

は3NTで止まることが出来るから、
4

とレイズするのは惜しいと。

このハンドは「4

」が shape-invitationの
約束だと良いようです。