ディール(ダブルダミー)解析ソフトといえば「ディープフィネス(deep finesse)」
が有名。以前は有償ソフトでしたが、現在は無償でリリースされています。
ウェブサイト
deepfinesseからダウンロードできます。
私もプレーやディフェンス展開のややこしいディールは「ディープフィネス」に
ハンドを入力して調べました。
最近では、もっと良いソフトウェアを使っています。
杉野正勝さんの開発した“PS-bridge-hand”。
ウェブサイト
PostScript Bridge Handから無償でダウンロード出来ます。
使い勝手はディープフィネスよりやや劣りますが、機能は上。
パソコンを使える人なら楽勝でしょう。
各国ブリッジ連盟会報やブリッジワールド誌などではプレーとディフェンスの
ハンドが毎回いくつか出題されます。
ブリッジワールド誌では、先ず問題執筆者(Problem Editor)が原稿を書いて、
技術担当編集者(Technical Editor)が内容を確認します。
いずれも一世を風靡したプレイヤー達なのですが。
何ヵ月に1回かは「訂正記事」が出ます。
とても良い問題に見えても思わぬ穴があるもので。
ダブルダミー解析ソフトで確認すれば、欠点は見つかると思うのですが。
例えば以下のディールは。
アーウィン・ブレッチャー、ダニー・ロス共著 「ブリッジ 80クラシックプロブレム」
第25問のハンドに手を加えたものです。
Southのプレーする6
は何のリードでもメイク。ダミーリバーサルです。
ところが不思議なもので、6
は
のリードが来るとダウンします。
直ぐには気付かないことでしょう。
コンピュータシミュレーションについては、
タフ・アンティアス、デイビッド・バード共著
「ウィニング・ノートランプリード」と「ウィニング・スーツコントラクトリード」
の後書きに詳しく。
この2冊の書評は「ブリッジワールド」誌2012年9月号と2013年12月号に。
両著者による署名記事は2011年10月号にあります。
実際のブリッジテーブルではディクレアラーはプレーミスをしたり、プレーの
ゲス(guess)を外すことがあります。
ディフェンス側はディフェンス側で、オープニングリードが逸れたり、シフトする
スーツを間違えたり、攻めるスーツのゲスを外したり。
コンピュータはディール全体、すなわち4つのハンドを見た状態でプレーと
ディフェンスを展開しますので、全くトリックを損しません。
詰め将棋みたいなものです。敵も味方も最善手を繰り返します。
裏のキングシングルトンを叩くのはディクレアラーもディフェンダーも朝飯前。
ハンドレコードを見ながらプレーしているので当然ですが。
ディクレアラーもディフェンダーも、AQ108から「10」を出したり、K1086の
「6」でフィネスしたり。
5000ディールもシミュレートすれば、ディクレアラーの有利さとディフェンダー
の有利さが中和されて、有利さは同等ではないかと。
10000ディールをシミュレートしても、統計分析上の結果はコンマ以下の
パーセンテージしか変わらないそうです。
ダブルダミーでの解析結果と、実際のテーブルでのプレーの結果がどの
程度一致するのか。世界選手権などトップレベルの競技会での結果や、
地域のブリッジクラブでの2年分の結果を、10万プレー調べたところ。
トップレベルの結果は、ダブルダミーの解析結果と62%一致、30%は
前後1トリックの差であったそうです。
このあたりはゴルフコースの「パー(par)」と似通ったものがあります。
クラブレベルでは、50%一致、前後1トリックの差は38%であったと。
参加者のレベルにばらつきがあることを反映しています。
5000ディールもシミュレーションをすれば、実際のトップレベルのブリッジの
結果と一致すると見なせるということです。