私は「ダブル」を叩きつけるように出す人が嫌いでして。
その下品な感じが。
しかしながら。
敵の(最終コントラクトと思しき)ビッドが多大にダウンするとわかっているとき。
これを「パス」して見逃すのは武士の情けではありますが。
競技ブリッジ的には「ダブる」のが正しい行為で。
ブリッジの規則 第72条によりますと:
『(デュプリケートブリッジ競技会の)主な目的は、規則が定める合法的な手順
および倫理基準のもとで、他の競技者より高いスコアを獲得することである』。
当たり前だけど規則違反してはいけないと。
味方の得点を最大限にするよう努力しなさいと。
ややこしいオークション経過になって、途中で「ダブル」がかかったとき。
「ダブル」した人のパートナーが、パスをするか、何かをビッドするかで微妙な
ときがあります。
そのようなとき。
「ダブル」を出す人の出し方で、ペナルティかテークアウトかが判ってしまうよう
ではいけない。
ときは2006年11月。ところはハワイ。
北米ブリッジ選手権秋季大会には日本からも40人近い参加者があったかと。
ACBL(米国ブリッジ連盟)主催のブルーリボン杯の参加者は本土開催では
ないので、たったの132テーブル。
予選、準決勝、決勝の3日間。
1日毎に参加者の半分が切り落とされます。
決勝の模様を米国「ブリッジワールド」誌 2007年4月号でラリー・コーエンが
記事にしています。
5番ボード (ディーラ:N、NSバル)
Southのジアは、慎重なシングルレイズ。
Westのロッドウェルは、やや軽めのテークアウトダブル。
North、ハマンの3
はインビテーションではなく妨害ビッドで。
East、メックストロースが4
で競り合うのは当然と思われます。
ロッドウェルは “sorry,partner”と言いながらダミーをひろげて。
4
ダブルはマイナス1100点。
このボードがあったにもかかわらずメックウェル組は3位になり、
対戦相手のハマン・ジア組の6位を上回るのですが。
ここでの Zia Mahmood のダブり方が。
理想的な早さで。
パチンと音を出すでなく。
ゆっくりめでもなく。
つよめでもなく。
5秒ほどの間をあけてから。
そっとダブルのカードをテーブルに。
“ … Who can blame Meckstroth for bidding four clubs?
Zia doubled in prefect tempo:
not snappy,not extra-slow,not emphatically.
He waited approximately five seconds
and calmly placed the double card on the table.”