この章は以下の3部構成になっています。
(A)1
→2
シークエンス
(B)スプリンターレイズ
(C)フォーシングノートランプ関連ビッドシークエンス
(A)1
→2
シークエンス
1
オープンに対する2
レスポンスは2オーバー1の特殊領域です。
1
や1
オープン後の2オーバー1・レスポンスの場合と違って、
オープナーが5〜6枚のスーツをリビッド出来ないことがあるからです。
したがって:
W | E | 1 | 2 | ? |
|
「2
」をビッドします。ハンドの強さに
余裕を表すリバースにはなりません。
また、
W | E | 1 | ? | |
|
ALMOST なら2
レスポンスですが、INSTANT だとビッドに困ります。
1
オープンに対する「2
レスポンス」はゲームフォーシングのままで、
「3
レスポンス」を良い6枚
のインビテーションハンドを表す取り決めが
簡便です。
オープナーのリビッドには代表的に以下の2つの方式があります。
(A−1)2
リビッドは
を4枚保証
W | E | 1 | 2 | ? |
|
2
= 5枚
、「Qxxxx」以上の内容では義務的、
ハンド強さ上限無し
2
= 4枚
と4枚
、ハンド強さ上限無し
2
= 4枚
と4枚
、ハンド強さ上限無し
2NT = NT向き、ミニマム(12〜14)バランス
(A−2)2
リビッドは
を3枚しか保証しない
W | E | 1 | 2 | ? |
|
2
= 同上
2
= ショート
オープンの可能性あり
3〜4枚の
と4枚
、ハンド強さ上限無し
2
= 同上
2NT = 同上
ちょっと変わったところでは以下のようなのもあります。
(A−3)コキッシュ方式[特殊]
W | E | 1 | 2 | ? |
|
2
= 5枚
、義務的、ハンド強さ上限無し
2
= 4441、
シングルトン
(トランプ設定後は点数アスキング
→コントロール数アスキングと続きます)
2
= ミニマム・
レイズ
2NT = 12〜14、バランス
3
= ゲームフォーシング・
レイズ
2
と3
を使い分けできるのがなかなか素晴らしく。
興味のある方は「kokish 1D-2C」で検索してみて下さい。続々と出てきます。
(B)スプリンターレイズ
2オーバー1 の経過でオープナーがジャンプシフトまたはジャンプリバースすると、
スプリンターレイズになります。
レスポンターが
スーツに無駄な絵札が無ければミニマム・ゲームフォースの強さ
でもスラムが出来そうなハンドを表します。
K+
AQ+
Kで完璧でしょう。
同様に:
3
は
フィットのスプリンターレイズです。
以下のオープナーのリビッドは全てスプリンターレイズです。
(C)フォーシングノートランプ関連ビッドシークエンス
2オーバー1は優れたビディングシステムですが、漏れなく付いてくるのが
フォーシングノートランプです。このフォーシングノートランプが「くせ者」で。
2オーバー1が ALMOST か INSTANT かで、表すハンドが違います。
どのような「くせ」があるのかを見て行きます。
(C−1)レスポンダーが長いスーツで弱いハンドのとき(イ)
ALMOST INSTANT
(C−2)レスポンダーが長いスーツで弱いハンドのとき(ロ)
ALMOST INSTANT
W | E | | 1 | 1NT | 2 | ? |
|
INSTANT の方は、3
オープンの
ようなハンドを表すのが苦手です。
(C−3)レスポンダーが長いスーツでインビテーションのとき(イ)
ALMOST INSTANT
(C−4)レスポンダーが長いスーツでインビテーションのとき(ロ)
ALMOST INSTANT
(C−5)レスポンダーがリビッドに於いてジャンプシフトしたとき
ALMOST INSTANT
ALMOSTの方は、フィットジャンプ(Fit jump)になります。
良いサポートがあって10〜12の強さ、良い5枚以上の
スーツでシングル・ジャンプシフトします。
INSTANTの方は、6枚スーツのインビテーションハンドを表します。
類型シークエンスには以下の3つがあります。
(C−6)オープナーが3巡目にセカンドスーツをビッドしたとき
ALMOST INSTANT
ALMOST は5-5か6-4の区別がつきません。
INSTANT は必ず6-4です。
2オーバー1 に伴うこのビッド経過が焦点となるディールがありました。
2012年春季米国チーム選手権(Vanderbilt Cup)準決勝
ディーラーSouth、NSバル
N:Gitelman N:Amoils
S:Moss S:Wolpert
両方のテーブルとも2
は CATCHALL で5枚以上。オープナーの「3
」は
6枚
と4枚
の可能性があります。片方のNorthは「3
」と2枚サポートを
表して4
に到達。もう片方のNorthは「3NT」を選びました。
Southの4
には
のリード。
Qでフィネスすると抜け、右手は
10にシフト。
ダミーの
Qが勝ち、ディクレアラーは
を続けて左手がエースを取り、
を出し
ます。この後ディクレアラーは
3-3と
3-3を試し、いずれも駄目で2ダウン。
フィネスか、
3-3か、
3-3で良いので、いささか不運ではあります。
Northの3NTには
のリード。ディクレアラーは勝ち、
Qで負けに行きます。
この後、
の3-3と
の3-3を試してから、
Jを流して3メイク。
このハンド、INSTANT なら:
と、軽い乗りで3NTになるでしょう。その代わりにレスポンダーは16点を表して
いませんからスラムへのアプローチはおろそかになっています。
やはり一長一短ですかね。