強いハンドを持ったときに1の代でオープンするか2
でオープンするかは
個々人の判断です。「私(あなた)の勝手です」と申し上げていいでしょう。
しかしながらその2
オープンが世間相場よりも大幅に弱いときにはアラート
が必要です。この「世間相場」をJCBLでは以下のように定めています。
1.20HCP以上ならどんなハンドでも
2.メジャースーツなら4ルーザー以内、3.5クイックトリック以上
3.マイナースーツなら3ルーザー以内、3.5クイックトリック以上
組み慣れたペアならパートナーの2
オープンの傾向は知っているでしょう。
世間相場の強さがあるならアラート不要です。
世間相場よりも貧弱なことが多いときにはアラートして下さい。
組み慣れててもこんなのは始めてだ、というときはアラートをしていないはず。
始めて組むパートナーで傾向を知らないのならアラートをしないと。
JCBLの決めた「世間相場」が適正か否かは異論もあるでしょう。
規則ですから、どこかで線が引かれます。まあ妥当なところではないでしょうか。
ハンド例を3つあげておきます。
では2
オープンに於けるクイックトリックとルーザーの数え方を。
クイックトリック(QT)は、「上から2つ」まで。
ルーザーとウィナーは、スーツの枚数分を。
覚えるようなものでは無いです。「だいたいこのくらい」で十分。
AKQJ102 6勝 0敗 2QT
AKQ432 6勝 0敗 2QT
AKQJ10 5勝 0敗 2QT
AKJ102 4勝 1敗 2QT
AKJ32 3.5勝 1.5敗 2QT
AK432 3(+)勝 2(-)敗 2QT
AQJ102 4勝 1敗 1.5QT
AQ1092 3勝 2敗 1.5QT
KQJ432 5勝 1敗 1QT
KQJ102 4勝 1敗 1QT
KQJ32 3(+)勝 2(-)敗 1QT
KQ1092 3勝 2敗 1QT
KJ1032 3勝 2敗 0.5QT
AQJ10 3勝 1敗 1.5QT
AQ109 2(+)勝 2(-)敗 1.5QT
AQ102 2(-)勝 2(+)敗 1.5QT
KQJ10 3勝 1敗 1QT
KQJ2 2勝 2敗 1QT
KJ102 2勝 2敗 0.5QT
KQ32 1.5勝 2.5敗 1QT
A432 1勝 3敗 1QT
K432 0.5勝 3.5敗 0.5QT
Q432 0.25勝 3.75敗 0 QT
J432 0勝 4敗 0 QT
AKQ 3勝 0敗 2QT
KQJ 2勝 1敗 2QT
AQJ 2.5勝 0.5敗 1.5QT
AQ10 1.75勝 1.25敗 1.5QT
AJ10 1.5勝 1.5敗 1QT
AK2 2勝 1敗 2QT
AQ2 1.5勝 1.5敗 1.5QT
KQ2 1.5勝 1.5敗 1QT
KJ2 0.75勝 2.25敗 0.5QT
A32 1勝 2敗 1QT
K32 0.5勝 2.5敗 0.5QT
Q32 0.25勝 2.75敗 0 QT
AK 2勝 0敗 2QT
AQ 1.5勝 0.5敗 1.5QT
AJ 1勝 1敗 1QT
KQ 1勝 1敗 1QT
KJ 0.5勝 1.5敗 0.5QT
K2 0.5勝 1.5敗 0.5QT
Q2 0勝 2敗 0 QT
厳密に計算すると少々の誤差はあります。実用上はこれで十分でしょう。
2
オープンに関しては未だに初級者向けの本が新刊されていて。
誰もが認めるような「基準」というものが無いことを物語っています。
一般的な「ルーザーカウント」を方々で調べても資料がありません。
ACBL 版ブリッジ百科事典(Encyclopedia)にも「ルーザーカウント」
や「ウィナーカウント」の項目は無く、あるのは「PLAYING TRICKS」
だけです。そこにあるハンドは、
0.5+
5+
1.5で、7.0 プレーイングトリックとか。
そこにあるスーツは、「KJ8653」で約3.5 プレーイングトリックであるとか。
約3.5 プレーイングトリックということは、約2.5 ルーザーと数えています。
正確には3.25勝、2.75敗だと思われますが。
重要なのは「ビッドを選ぶ」ことなので、神経質にならなくていいでしょう。
記事「
ダブルボイド」に書きましたが、
1.5ルーザー、3クイックトリックです。
クイックトリックは3.5に足りませんが、2
オープンする人が多いのでは。
普段は固い2
オープンをする人が、このような10年に1度のハンドで
2
オープンしたからと言って、アラートが要求されることは無いでしょう。
ちょっと古いですが、米国「ブリッジワールド誌」1999年4月号から。
ペア戦、ノンバル、ディーラーです。パネル回答者の選択は、
1
オープン 15人、
2
オープン 17人。
なお、1
オープンした後、1
レスポンスに対しては2枚
で3
とジャンプ
シフトする人が9人でした。
「ブリッジワールド誌」も世論調査にしかならないので、この種の問題は最近
では出さなくなったようです。
今年(2012)の渡辺杯から。
マッチポイント戦、ノンバル、ディーラーWです。
オープナーとしては、仮に「1
オープン→P→P→P!」で終わったときに、
ゲームが出来そうと思うかどうかでしょう。結果的に6
は
Qが落ちてこない
のでダウン。6
をビッド(&メイド)したのは48テーブルで1ペアだけでした。
米国「ブリッジワールド誌」2012年6月号から。
記事担当 エリック・コキッシュ氏のお勧めビッドは、
です。6
へのジャンプは「サイドスーツは弱いが、非常に強いトランプ
サポートを持っている」という取り決めです。
オープナーのハンドは、BRIDGE WORLD STANDARD の基準では
2
オープンには足りません。ではBRIDGE WORLD STANDARD は
どのようにして2
オープンの基準を決めたかと言うと、以下のハンドで:
カード「Y」が「何のカード」のときに、2
オープンの最低線に近いか?
という質問をして、以下の回答を得ています。
パネル回答者 一般読者
エース 15% 23%
キング 33 34
クィーン 28 26
ジャック 24 17
色々な意見があり、まさに「私(あなた)の勝手」のようです。
記事「
ヘルプスーツ・ゲームトライ」にも書きました。
今年(2012)のサントリー杯から。
オープナーのハンドは、仮に「1
オープン→P→P→P!」と終わっても
4メイクはしそうにありません。従って1
でオープン。
「
J」があるとだいぶ違います。2
オープンでしょう。