「
RKB ベーシック」編で紹介したローマンキーカード ブラックウッドは、
1991年に横浜で開催された世界選手権への参加にあたり、代表チームの
コーチとして招聘されたエリック・コキッシュ氏から教授されたものです。
爾来20年。RKB には様々な工夫が加えられて来ましたが、機能が大幅に
増すほどの進化は見られないようです。以下にバリエーションを紹介します。
1.LMH (エルエムエッチ) キングショーイング
「LMH」はLow-Middle-High の省略形です。
Low = ランク低
Middle = ランク中
High = ランク高
「ローミッドハイ」とも言います。
RKB に於いてキングアスキングはキングのキュービッドを要求しています。
このキュービッドをステップレスポンスにします。サイドスーツのキングが
無いときにはトランプに戻る、というところは変わりません。
例えば、
RKB ベーシック 編 3-1.は以下のようになります。





5

= 1 or 4

5

= サイドスーツ・キングアスキング

5

= サイドスーツキング無し [無いときはトランプ戻り]
5NT =

K (Low)
6

=

K (Middle)
6

=

K (High)
6

=

K&

K&

K [スリーキング揃い]





5

は 0 or 3

5

はトランプクィーンアスキング

5

=

Q無し [無いときはワンステップ]
5NT =

Q&

K (Low)
6

=

Q&

K (Middle)
6

=

Q&

K (High)
6

=

Q&

K&

K&

K [スリーキング揃い]
「LMH」を私自身は1988年にロサンゼルスで開催されたロバート・カルボ氏
(当時WBF理事)主催のユースキャンプで習いました。この種のアスキング
ビッドへの答え方は、ビリー・アイゼンバーグ氏とアラン・ゾンターク氏の講義
では、全てLMH でした。(半日だけでしたが、エディ・カンター氏のプレーの
授業もありました。) そう言えば晩餐会にアルフレッド・シャインウォルド氏が
招待されていました。もうお爺ちゃんでしたが白髪の紳士で、当時20代の
私はホーと思ったものです。
2.トランプクィーンアスキングへの答え方
「
RKB ベーシック」編で紹介したローマンキーカード ブラックウッドでは、
トランプクィーンアスキングに対する答え方が 「無いときはワンステップ」、
「有るときはサイドスーツのキングをキュービッド」となっています。
例えば以下のようです。





5

= 1 or 4

5

= トランプクィーンアスキング

5

= トランプクィーン無し [ワンステップ]
5

= トランプクィーン有り、サイドスーツキング無し
(5NT = トランプクィーン有り、

K有り)
6

= トランプクィーン有り、

K有り
6

= トランプクィーン有り、

K有り
6

= トランプクィーン有り、

K有り
(慣れたペアは5NTのビッドも採用したら良いと思います)
ところがトランプクィーンが有るときには6

まではビッドするのでしょうから、
この経過では「5

」のビッドが無駄になっています。
ここを改良して、
「無いときはトランプに戻る」
「5NT はトランプクィーン有り、サイドスーツキング無し」
に切り替えると以下のようになります。





5

= 1 or 4

5

= トランプクィーンアスキング

5

= トランプクィーン有り、

K有り
5

= トランプクィーン無し [トランプに戻る]
5NT = トランプクィーン有り [サイドスーツキング無し]
6

= トランプクィーン有り、

K有り、

K無し
6

= トランプクィーン有り、

K有り、

K無し、

K無し
このビッド経過に限ってはビディングスペースを有効に使えます。同様に、





5

= 0 or 3

5

= トランプクィーンアスキング

5NT = トランプクィーン有り [サイドスーツキング無し]
6

= トランプクィーン有り、

K有り
6

= トランプクィーン有り、

K有り、

K無し
6

= トランプクィーン無し [トランプに戻る]
などのようになります。
米国ブリッジワールド誌の Bride World Standard 2001 に於けるRKB
などはこれに近い方式を採用しています。
Exclusion Blackwood でトランプクィーンアスキングをするときには何等か
の補正が必要です。MINORWOOD でトランプクィーンアスキングをするとき
にも注意して下さい。サイドスーツ・クィーンもステップアスキングになります。
3.KANTAR 方式
なぜ「0314」ではなく 「1430」レスポンスを採用するのか?


5

の後は5

でトランプクィーンアスキングが出来ますが、
5

の後はトランプクィーンアスキングをすると5

を超えてしまいます。
キーカードの枚数が「3」または「4」のときには、5

を超えても大丈夫。
「0」のときには、5

で止まることも多いでしょう。
「1」のときには、トランプクィーンアスキングの必要性が高いはずです。
従って5

のビッドを「1 or 4」にする方が有利になります。

トランプのときには以下のように「0314」でも「1430」でも困りません。


いずれも5

より下のレベルでトランプクィーンアスキングが出来ます。
前述の考え方を進めると、「0314」か「1430」で5

のレスポンスが来る
可能性が高い方を、ビッド経過に応じて採用するということになります。
RKBの本を改訂第5版まで書いたエドウィン・カンター (しつっこいですね)
の提案は、
「強い方のハンドから弱い方にアスキングするときには1430」
(弱い方は 1 の可能性が高いから)
「弱い方のハンドから強い方にアスキングするときには0314」
(強い方は 3か4 の可能性が高いから)
を採用するというものです。良いことは確かでしょう。厄介ではあります。