「ブルーマー(Bluhmer)」
発案は ルイス ブルーム(Louis Bluhm)。
「パートナーの短いスーツに無駄点の無い、素晴らしく良いハンド」
を表す特殊なコンベンション。
私が始めて見たのは米国ブリッジワールド誌1995年11月号でした。



レスポンダーは2

のビッドで2枚

の6〜9点を表しました。
オープナーのハンドは典型的に

5、

4、

3、16〜18点(の価値)。
3

を聞いた段階でレスポンダーはマキシマム、

の強いフィット、

に強い2枚サポート、

のルーザーは取り敢えず1個だけ。
かなり「使い出」があります。想定するオープナーのハンドは、
「

AQxxx

x

AQxx

AJx」くらい。
パートナーの1枚以内と想定される

スーツに無駄な点が無いことを、
「4

」のビッドで表しました。

に絵札が有るのではなく、無いことを
表すキュービッドで、ついた名前が「アンキュービッド(UNCUEBID)」。
果たしてパートナーに通じますでしょうか?
米国ブリッジ連盟発行「ブリッジ百科事典(Encyclopedia of Bridge)」では、
第6版(2001年)までは記載がありませんでした。最新の第7版(2011年)
には以下の例があります。



オープナーは

1、

5、

4、

3の形で、ハンドの強さに余裕あり。
レスポンダーは

でスラムが出来る可能性があることを、4

の
「アンキュービッド」で表しました。想定するオープナーのハンドは、
「

x

AKxxx

AQxx

KJx」 くらいです。
通じますかね?
コンベンションは忘れた頃にやって来る。「マーフィの法則」。
ディール1. 1997年 ローカルゲーム




1NTはフォーシング。

3

は9〜11点位。

3

は

ストッパーショーイング。

4

はアンキュービッド!

4NTは

RKB1430。
コンベンションをしっかり覚えていても怪しいのに、、。
ディール2. 2001年 ナショナルチーム戦




2

は6〜9点位。

3

は5-5、16〜18。

4

はアンキュービッドになるはずです。

(でも4

をビッドするかな?)

6

はChoice-of-slam。



2

は16〜18、5431風。

3

はマキシマム、

サポート。

4

は5-5。

4

はアンキュービッドになるはず。

6

はChoice-of-slam。
ここでの3

のビッドは4枚

サポートを表すか、
ストッパーを表すか、コントロールを表すか?
次の4

のビッドにも関連性があると思われます。
ブリッジワールド誌2003年5月号



世界チャンピオン多数を含むパネル回答者32名のビッドは:
4

= 20名、4

= 1名、6

= 1名、
4

= 3名、5

= 2名、3NT = 5名。
3

は典型的に

3、

1、

5、

4 の19点以上を表します。
レスポンダーは4枚

を否定していないので、
「

KQ10x

10xxx

Qxx

Jx」
のような4枚

での4-3の4

コントラクトを示唆するのでは。
4

は今さらコントラクトを示唆するほど

スーツに長さと強さがある
とは思えないので「アンキュービッド」になりそうですが、人気は無い
ようです。パートナーに「伝わってなんぼ」ですからね。
ディール3. 2000年 ナショナルチーム戦



1

は米国流。

2

はアンチ米国流。

3

は5431風。

4

はアンキュービッドになるはず。

4

は

Kが無駄になっているから。

(変なビッド、、、)


1

は深い意味なく。

2

は米国流。

4

は見ての通り。

(こんなもんかな、、)
まだまだ研究の余地があるようです。
発案者のルー ブルームはプレーヤーとして傑出した成績を残していますが、
それよりも特筆すべきことがあります。それは米国ブリッジ連盟(ACBL)
から Distinguished Member Award で表彰されたことです。というか、
表彰するために1989年に賞が創設されました。その理由が素晴らしく。
「人柄、ブリッジへの貢献。さらにはモラルの高さと礼儀正しさ(ethics
and courtesy)が傑出している」と。このとき49歳、惜しくも翌年に亡く
なりました。以来この表彰を受けたのは1995年、元会長のジェームズ
ツィンマーマンだけです。
長年のACBLへの貢献には「名誉会員(Honorary Member Award)」で
毎年1〜2名が表彰されています。これに対して「特別名誉表彰」とでも言う
のでしょうか。ポーカーの達人でもあったので、単なる気のいいおじさんとも
思えません。そのうち米国に行ったら誰かに聞いてみます。